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新しい生活 7
「及第点、だな」
和樹が校長や他の職員達に挨拶を済ませ職員室に戻ってくると、透は開口一番こう言った。
「ええっ、なんで!?」
「なんでって……。子供らが食い付きそうな話に持っていって退屈させない話術はお前らしくていいと思ったよ。でもな……プライベートのことで惚気すぎだバカ!しかも、あんな大勢の前で」
「だって、本当の事だし。別にマッスーの名前出してないじゃん」
そう言うと、和樹は少し拗ねたように唇を尖らせる。
「俺は良かったと思うけどな? つか、大丈夫だよ。コイツ、照れてるだけだから」
ニヤニヤと笑いながら後ろからアキラが割って入って来た。
「なっ! そんなんじゃないって!」
「またまた~。スッゲーニヤついてたくせに」
「え! マジで!? 俺、必死だったからマッスーの顔見る余裕なかった」
見たかったなぁ。なんて言いながら、和樹が顔を覗き込んでくる。
「見るなよ! 恥ずい」
透は堪らず荷物を持ってたちあがり、ふいっと視線を逸らし二人から逃げるように歩きだす。
「……何してるんだ。帰るぞ、和樹」
職員室のドアの前で立ち止まり、声を掛ける。
「あっ!待ってよマッスー! 今行くっ! じゃあ、アキラ先生また!」
「おう、試験頑張れよ」
ヒラヒラと手を振るアキラに背を向けコチラに向かってくる足音を聞きながら、透は自然と口元に笑みが浮かぶのを止められなかった。
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