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第4話 相思相愛

 僕はご主人様の返事を聞いて、正直、驚いた。男の人が好きな男たちが、同じ場所に集まってとかならありえるけど。僕たちが出会った場所はただのアパート。お互い、一目惚れだったなんて。普通の男女でもほとんどありえない確率だ。 「あ、あの、僕と付き合ってくれるんですか」  ご主人様は、またにこやかに笑った。 「こちらこそよろしくお願いします」  僕は嬉しさのあまり、涙がでてきた。本当に好きな人に告白して、それが成功した。涙を流す僕に少しご主人様が慌てている。ハンカチを取り出して、涙でぐしょ濡れの僕の顔をやさしく拭いてくれた。 「ちょっと、公園でも行こうか、まこと君」  僕とご主人様は近くの公園まで一緒に歩く。僕の頭はフワフワしている。隣には素敵なご主人様。まるで夢のよう。そして、公園に到着するとベンチに座る。人は全然いない。ご主人様がいろいろと僕に聞いてくる。登校拒否のことや今の生活、勉強をしているかどうか。 「学校には行ったほうがいいと思うけどなあ」  ご主人様にそう言われた。しかし、あの陰湿な虐めには遭いたくない。それに、もう僕はご主人様だけいれば、もう何もいらないと思い込むまでになった。ご主人様とキスをしたくなった。僕の願いを受けてくれるかなあ。少し迷った。さっき、告白したばっかり。けど、キスしたいんだ。えい、言っちゃえ! 「あの、僕とキスしてくれませんか」  ご主人様は戸惑っている。少し周りを見た。そして、僕の手を引っ張って、公園の大木の陰に連れて行った。やっぱり人には見られたくないのかな。しかし、誰もいないとわかると僕をやさしく抱きしめながら甘いキスをしてくれた。唇を合わせるくらいだけど。  僕にとってはファーストキスだ。  ご主人様が背が高いので僕は必死につま先立ちになって、背伸びをする。僕はすっかり陶酔しきって興奮した。しばらくして、離れる。けど、僕はまたご主人様に抱き着く。 「本当に好きです」  ご主人様がまたやさしく抱きしめてくれる。  そして、言った。 「もう、帰ろうか」  もっと抱きしめてほしかったけど、今日はこれくらいでいいかなと思い、ご主人様のマンション前まで行く。スマホのメールや携帯番号を交換した。 「じゃあ、今日はこれで」  ご主人様はにこやかに手を振って、マンションに入って行った。僕は自分の家に向かう。今のは夢じゃなかったのだろうか。しかし、スマホにはご主人様のメール、携帯番号が登録されている。夢じゃない。家に帰ると、ちょうど兄が出勤するところだった。 「最近はよく外出するようになったな。家にこもっていることが多かったので心配してたんだ」  兄は笑って、仕事に出かけて行った。そう言えば、ご主人様は僕が登校拒否をしてるのを知っていた。多分、兄から聞いたのだろう。それを聞いて心配してくれるご主人様。やっぱりご主人様はやさしい人だ。  母はいつものように寝込んでいる。僕は兄との共用部屋に入って、今日の出来事を思い出す。あの唇を合わせた時の感覚。気持ちよかった。もっと、味わいたい。僕は小机を壁に立てかける。服を脱いで裸になって、四つん這いになる。それを映して見ながら、後ろからご主人様が僕を犯してくれるのを想像して、オナニーをした。  ああ、早く、ご主人様の性奴隷になって、虐められたい、辱められたい、犯されたい、そして、やさしく抱きしめてほしい。僕は激しく自分のものを擦る。今までになく大量に精液が噴出した。ものすごく興奮した。黒い鏡に映ったいやらしい男の娘。四つん這いになって、犯される男の娘。  毎日会いたい。  早くご主人様に抱かれたい。  そして、ずっと一緒にいたい。  しかし、僕は気になった。ご主人様はなぜ僕の告白をすんなり受けてくれたんだろう。ご主人様には恋人はいなかったのか。今まで恋人はいたのだろうか。いたとしたら、その人とはもう別れたのか。  けど、まだ早いかな。とりあえずデートかな。近くに小さい遊園地がある。僕はご主人様にメールを送った。次の休みに遊園地に行きませんかと。しばらくして、返事が来た。 「かまわないよ」  僕は有頂天になった。  次の休日が待ち遠しい。  どんな格好をしようかな。  本当はかわいい女の子の格好をしたい。  しかし、そんな服を買うお金はない。  母の服を着ても大きすぎてダブダブで無理。  仕方なく、僕はTシャツにジーンズ姿というごく普通の格好でデートに行くことにした。  待ち合せの時間よりかなり早めに遊園地の前到着。本当に来てくれるかなあ、もしかして、単にからかっていただけなのかなあと心配になる。けど、時間ぴったりにご主人様はやって来た。ご主人様もごく普通の格好だ。シャツにジーンズ姿。僕の顔を見て、手を振っている。僕は走って近寄る。そのまま抱き着きたくなったけど、人目があるので我慢した。  この遊園地は小さくてかなりしょぼい。観覧車は小さい。ジェットコースターもとても遅い。けど、僕にはそんなことはどうでもいい。ご主人様と一緒に居られるだけでいい。観覧車に乗った。お金はご主人様が出してくれた。  観覧車のゴンドラが上がっていく。僕の胸もドキドキしている。目の前にはご主人様が座っている。二人だけの空間。ご主人様は機嫌よさそうに外の風景を見ている。思わず、抱き着いてしまった。ご主人様もこの前のようにはびっくりとはせずに、僕の背中をやさしく撫でてくれる。すごく気持ちがいい。観覧車がどんどん上の方に登っていく。僕の気分も高まっていく。僕はご主人様の顔を見ておねだりをした。 「キスしてください、ご主人様」  ご主人様が妙な顔をした。 「その、ご主人様って言うのは、ちょっとまずいなあ。名前で呼んでよ」  しかし、僕はご主人様と呼びたいと言った。  すると、ご主人様が笑って言った。 「まあ、いいけど。ただ、あんまり人がいるとこでは言ってほしくないなあ」  僕はわかりましたと答えた。そして、ゴンドラが一番上に登ったとき、僕とご主人様はキスをした。この前と同じやさしいキス。けど、僕は舌を少し、ご主人様の口の中に入れた。ご主人様は少し舌を絡ませてくれた。嬉しい。そして、唇を離すと、僕はまたぎゅうっとご主人様に抱き着く。    しかし、ゴンドラが降りていくと、ご主人様はやんわりと僕を離して、元の席に座らせた。  そして、笑って言った。 「人に見られるとまずいよね」  僕は思った。ずっと、このままでいたかったのにと。

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