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お仲間
俺を担いで白くておしゃれな折り返し階段を登った。蹴込み板がなくて少し怖い。
踊場には、大きな棚があって、ランプや本、小さな観葉植物、ツルツルした白い壺が置いてある。大きなリビングには天井はすごく高くて、大きな天窓がついている。壁掛けテレビや、黒くてふかふかしてそうなソファがあってとてもオシャレ。ジーッと部屋を見つめていると、すぐに景色が流れて見えなくなった。
階段を登ってすぐの左手の扉を開けると、丸まってスヤスヤ眠る白いオオカミと、大きな欠伸をする灰色のオオカミが居た。
「おいお前ら起きろ」
男が声をかけると、二匹のオオカミは慌てて飛び起きて、姿勢を正して座った。
「白いのがミアで、灰色のがレック」
そう言うと、また二匹から煙が出て、上裸の男と、下着姿の女が現れた。
「わぁ、人間?」
「僕初めて見た!」
「ここは獣人の街だからね」
「い、いやっ、なんで皆ほぼ裸なんですかっ!」
そう言うと、3人ともポカンとして、それからクスッと笑った。
「獣姿の時は服着てないもの」
「うんうん、ごめんね〜。すぐ着るから」
そう言って、3人とも棚から服を取り出して手早く着替えた。
女性なのに下着姿って気にしないんだ…。
「さてと…その人間どうして連れてきたの?」
「迷子だとかなんとか言い出すから仕方なくだ」
「うぅ…だってー…」
ホントにここがどこか分からないし。
「旅行?」
「違う」
「移住?」
「違う」
「…じゃあ何よ」
「俺もよく分からないんだよ」
なんだか寂しくなって声色が暗くなる。
「…人間の街に帰す?」
レックが心配そうな声で言う。
「お前金あんのか?」
言われて、お尻のポケットを触ると、お財布が入っていた。
「あ、あるよ!」
俺は降ろしてもらって、お財布を開いた。
…って日本のお金使える?
皆がお財布を覗いて眉間に皺を寄せた。
「…んだこれ。オモチャか?」
「違うっ!」
この人失礼。なんなんだよっ。ムスッと頬を膨らます俺を横目に流した。
「…あ!これ知ってるわ!」
考え込んでいたミアが突然声を上げた。
「え?ホント?!」
「ええ、テレビで見たわ。別惑星…チキューにある国、ニホンのお金って!」
「そう!俺そこから来た!…でもどうやって来たか分からない。」
「確かこの惑星 で売れば何兆円もするとか…」
「え゛っ、そんなに?」
「ええ。だって別惑星なんて行けないし超超超ー!レアなのよ!」
「へ、へぇ…」
目をキラキラさせて俺に迫ってくる。ジリジリ寄ってこられて困っていると、レックが「そうだ!」と声を上げた。
「生活してく上で絶対必要なものとかある?」
んー…そうだなぁ。
「お金と服とご飯と…あと抑制剤」
「ん?抑制剤ってなんの?」
「発情の抑制剤。それがないとフェロモンが出て大変なことになっちゃうから」
そう言うと、3人とも不思議そうに首を傾げた。
「人間って発情期あるの?」
「ううん、αとΩだけ」
「ふーん、オオカミの群れの中ではαβΩっていう階級があるけどそれ?」
「ううん、これは第二の性だから違うよ」
そう言うと、よく分からなさそうに眉間に皺を寄せた。
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