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発情期のときは……

「ねーカイ」 「あ?」 「オオカミにも発情期ってあるの?」 「ああ。5日〜20日くらい続くな」 「え゛っ」 な、長くない?20日も?俺たち人間は基本的に3日4日程で終わる。目を丸くして見つめていると、不快そうに眉間に皺を寄せた。 「…んだよ」 「いや…長いなぁって」 「普通だろ」 「そう?俺らは基本的に3、4日で終わるよ」 「そっちの方が変だろ」 「普通だし!」 異世界に来てまだ半日も経ってないけれど、ここはのんびりした世界なのかもしれない。時間だ時間だ!って急いでいる人が居なければ、戦っている人も居ない。 変だとか普通だとか言ったけど、そんなんじゃない気がしてきた。その動物の特徴なのかもしれない。そうだったらお互いに変だとか言い合うのは失礼だよね? 「…ごめん」 ポツリと呟くと、ピンと立っている大きな耳をピコピコ動かした。 「あ?急になんだよ」 「なんとなくさっきのは失礼だったかなって」 「はっ、今更だろ。…それよりさっきの話」 「さっき?」 「衣類を集めて番を待つ…だったか?」 「あぁ、あれ巣作りって言うんだよ」 「俺らそんなのやんねーから変わってんなと思って」 「へへ、確かにそうかも。…俺は番が居たことないしそういうエッチなこともしたことないけど、番が欲しくなるのとαが欲しくなるのは似たような感じなのかなって思ってる。…あ、番が居ないから巣作りしたことないけどね。」 いつもツンケンしているように見えるけれど、尻尾は大きく左右に揺れている。 「ふふっ」 思わず声が漏れると、不快そうに眉間に皺を寄せた。そんな顔してるけど、俺のこと好きなんだ。可愛いかも…。服従してるって意味もあるけれど、カイはリーダーみたいだし、俺に服従するなんてありえないから多分俺のこと好きなんだと思う。 なんだか嬉しくてギュッと抱きつくと、尻尾を更に大きく激しく振った。 「っ?!き、急になんだよ!」 「ううん、助けてくれてありがとう。俺家も薬もなくて困ってたから」 「…知ってる」 「カイは優しいね」 見上げてニコッと微笑むと、勢いよく顔を背けた。 「っ〜!…るせぇな…そこら辺で野垂れ死なれても困るだろ」 「安心して。発情期の時迷惑かけないから」 そう言うと、手がピクリと反応した。 「…別のヤツ探すのかよ」 「え?…あぁ、どうだろ。発散するだけの為に相手探すかもしれないし、1人でするかもしれない。…ごめん、そこら辺まだハッキリしてなくて」 迷惑かけないからとか言ったけど全部決まってから言うべきだったかも。そんな風に思っていると、暫く黙っていたカイが真剣な顔をして俺を見た。 「そうなったら俺が相手してやる。お前とできるなら本望っつーか…」 語尾になるにつれてだんだん声が小さくなる。なんで耳まで真っ赤なの? 「ごめん、最後なんて言ったの?」 「と、とにかく他のヤツとはヤるな!」 「でもそれじゃ結局迷惑かけちゃう」 「うるせぇ、家主が良いっつってんだから良いんだよ!」 真っ赤な顔で必死に言うのがなんだかおかしくて、ふっと笑ってしまった。

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