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可愛ければ全てよし

落ち着いてから服を着て、窓を開けてリビングに戻ると、寝転がりながらお菓子を食べているミアとレックがいた。 「おかえり」 「お疲れー」 ん?何が?2人は俺たちがシてたこと知らないはず。首を傾げるとミアはニヤッとイタズラに笑った。 「2人ともヤってたでしょ」 「え…な、なんで?」 「私さっき階段登ったんだけど途中で甘いフェロモン感じ取ったから。あとベッドがギシギシなってた」 「な、なっ…」 音聞こえてたフェロモンもそんなに出てたなんて…恥ずかしすぎるっ! カァッと顔が熱くなって、顔を両手で覆った。 「てかさ」 ミアは立ち上がって俺の首元をスンスン嗅いだ。 「すごいマーキングされてるね」 「き、気づいてたけど、そんなに?」 「うん、かなり。…カイはハヤトのこと好きすぎ」 「は?んなわけねぇだろ」 「でも一目惚れとか好きっていっぱい言ってくれーー……」 「な、なに言ってんだ!…でもまぁそういうことにしとく」 顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。ツンデレわんこ可愛い。 キュンとしながらモフモフの揺れる尻尾を掴んだ。ビクッと身体が跳ねる。 「なんだよっ」 「あ、ごめん。もふもふしっぽが揺れてたからつい…」 真っ赤なまま、見るなってしっぽを隠してしまった。 「ねぇ、またわんこになって」 「誰がワンコだ。オオカミつってるだろ」 ポスッと俺の頭に手を置いたカイを見上げる。 「可愛いに変わらないし触れたらなんでもいい」 ニコッと微笑んで見せると、フイッと顔を逸らした。 フリスビーやボールで取ってこいしてヨシヨシしたいけど…犬じゃないもんね。残念。自分で働いて、お金が貯まったらいつか犬を飼いたい。そんな風に思っていると、カイが俺をジッと見つめていることに気がついてまた見上げた。 「なに?」 カイは眉間に皺を寄せてため息をついた。 「禄でもないこと考えてんだろうなって」 そんな言葉にムッとする。 「なにそれ失礼」 「余計なこと考えずに俺だけ見てろ」 突然の言葉にポカンと口を開けて硬直する。 カイって素直な時とそうじゃない時の差が激しいよね。これは恥ずかしくないんだ…。不思議すぎる。 ただジーッと見つめていると突然ふっと笑って触れるだけのキスをした。 「何ボーッとしてんだ。無防備だと襲うぞ」 は?え?な、なんでキス?それに襲うって?さっきシたのにまだできるの? 獣人は人間に比べて動物に近いし性欲が強いのかもしれない。そんな風に思いながら、なんで答えたらいいのか分からなくてニコッと笑った。 カイは目を細めて、ふーん、と面白そうに俺を見た。 「あっ、そのうちみんなで出かけたい!」 カイはつまらなさそうにジッと俺を見た。 「みんなで…な」 「ダメ?」 見上げると、クソッ!と小声で叫んでそっぽを向いた。 ミアは、あはは…と微苦笑して俺たちを交互に見た。 「お散歩?僕も行きたいなぁ〜…。あ、公園の湖のそばでお弁当食べたい!」 レックはブンブンしっぽを振って楽しそうに目を輝かせた。 「いいね、暖かい日にしよう。春とかだと眠くなるね」 そんな話をしながら、ピンクの桜と、緑の芝生、それに太陽の光でキラキラ光る湖を想像した。 うん、すごく楽しそう。早く行きたいな。 あ、もふもふになってもらって一緒に寝られたら最高! 気がつくとミアとカイは呆れたようにため息をついて俺を見ていた。俺何かした?と首を傾げると、鈍感すぎる…とか、バカだな…と口々に言われた。もうっ、なんなんだよっ。

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