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ー鼓動ー23
「じゃあさ、東京の病院より島での診療所の方が大変だって事?」
「いや、どっちもどっちだろ? 俺達はこういう仕事してんだからさ、元から大変なんだしさ」
「んー、まぁ、そっか……」
そうやっとの事で朔望は納得したようだ。
「……て所で、こっちにいる間、僕達は何処に泊まったらいいの?」
そう朔望は新たな質問をして来るのだ。 確かにそれもそうなんだけど。
まぁ、ある意味、朔望達にこの診療所を引き継いで俺達の方は東京に行かなきゃならないんだから仕方ないと言えば仕方がないんだけど。
「そりゃな?」
「僕達は兄さん達に僕達の家に泊まるように言ったんだけど」
「……って、事は……ここに泊まらせろって事か!?」
「つーか、当たり前なんじゃないの? それにさ、二十四時間体制でここにいないとならないのなら、余計にだと思うんだけどなぁ」
「あ、そうか……」
そう和也は何故か頭を抱えてしまっていた。
「……って、そういう事だからさ、望達の部屋を朔望達に貸してやるしかないんじゃねぇの?」
「へ? あ、まぁ、そうだよな」
納得はいかないが、確かにそうするしかないだろう。 まさか朔望達の事を旅館の方へと泊まらせて、もし急患が来た時に医者である朔望達がいないと対応する事も出来ないのだから。
それなら朔望達に自分達の部屋を貸すしかないだろう。
「まぁ、俺達の部屋で良ければって話だけどな」
「ダメな訳無いじゃん! 寧ろ、兄さん達の部屋でいいしねぇ」
ホントその言い方が下心ありな感じがして、朔望達の場合こう何か企んでいてそうで本当は嫌な所でもあるんだけど、今回ばかりは仕方ないか。
「じゃあ、とりあえずはそんな所でいいか?」
そう言って俺は席を立つ。 そして食器を和也達に任せる事にした。
すると、どうやら朔望も歩夢も食事を終えたようでキッチンへと食器を置きに来る。
「じゃあ、兄さんと僕達はソファで勉強会でもしようか?」
そう言い朔望は俺の腕を引っ張られソファへと向かう。
「勉強会って、何をするんだよ!」
「え? 兄さん、もしかして、そう怒った風に言うって事は、何か変な風に考えてない?」
「そ、そういう訳じゃあないんだけどさ」
「そう焦ってるって事は、そういう事なんじゃないのかな? いやいや、悪いけど、マジに勉強会をする気だしね」
「じゃあ、何で、俺の腕を掴んでる必要があるんだよっ!」
「いいじゃん! いいじゃん! だって、兄さんと唯のスキンシップなんだもんっ!」
……だもん。 って、そう甘えたように言うんじゃねぇよ。 ったく。
そして俺は朔望にソファまで連れて来られると何故か朔望と歩夢の間に座らせられた。
すると本気で勉強会モードなのか、朔望はノートパソコンを取り出してくる。
「……へ?」
その朔望の行動に逆に裏声を上げてしまう俺。
……へ? 本当に本当の勉強会!?
朔望はノートパソコンを開き素早いキーボード捌きで、ある症例を出して来るのだ。
「これ、なんだけど」
「え? あ、ああ」
だがしかし二人は俺にべったりのままだ。
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