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ー鼓動ー101
「え? あ、まぁ……そうだよな。 今までこうしてゆっくりとしてる暇なんかなかったから、こうやってゆっくりと考える事が出来て、やっと、そういう思い出とかっていうのが出てきたのかもしれないよな。 そういうとこ、和也達には感謝しねぇとだよな」
「ああ、そうやなぁ。 今回の事、もう何回も和也達に感謝しなぁならんって思って来たやら、ホンマ、島に帰った時には『ありがとう!』って言わなきゃアカンよな?」
「そういう事だな」
その時、急に部屋の電話が鳴るのだ。
「あ、ちょっと待っててな。 きっと、時間ですよ。 って言う電話やと思うから」
そう言って雄介はソファから立ち上がると部屋内にある電話へと出るのだ。
そして電話を終えると、
「ほな、店出ようか?」
そう言うと雄介は下ろしておいた荷物を手にし、俺達はカラオケ屋を後にする。
気付くと外はもう夕方になりかけていた。
夏というのは夜になる時間というのは遅い。
夕方のこの時間でも夕日が沈む事はなかった。
でも太陽が沈む事によって、昼間に比べたら若干ではあるのだけど、気温が下がって来たようにも思える。 それだって本当に少しだけだ。 それだけ東京の夏というのはいつまででも暑いという事だ。
これが島だったら、夜は本当に涼しくなってくるのだから、エアコン無しでも寝れるのだけど。 この東京という所はこれだけ暑いと夜だってエアコンを切る事は出来ないだろう。
「……で、雄介、これからどうするんだ?」
って言ったって、まだ時間の方は十六時過ぎ。 ホテルで泊まりの時間までまだまだあるのだからもう少し時間を潰さないとならないだろう。
「せやな? ほな、先にそのお店に行って、その近くにある飲食店に入って、それで、時間になったら行くっていう事にするか?」
「え? あ、そうだな」
いよいよ、その雄介が言っていたお店に行くらしい。
俺はそのお店に行くのは初めてだったからなのか、緊張して来たように思える。
「こっからやと歩くけどええか?」
「……って、そう聞くけどさ、どうせ、歩かなきゃ行けない場所なんだろ?」
「え? あ、まぁ、そうなんだけどな」
「じゃあ、聞く必要ってなくねぇ?」
そう俺は雄介の言葉にクスクスとしていた。
「え? あ、まぁ?」
そう首を傾げてしまっている雄介。
「そこ、笑うとこなん?」
「あ、いや……何でか分からないんだけど、笑えたからかな?」
「まぁ、こうして望とゆっくりと話した事があまりなかったから、そんな会話でも笑えたのかもな」
「ああ、そうなのかもしれねぇな」
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