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ー鼓動ー103

「それから彼女なんて出来なくて、仕事も忙しくなってきてたし、まぁ、彼女とかっていう頭はもう俺の頭からはなかったかな? だってよ、忙し過ぎて、マジ暇なかったからさ、ま、そんな時に雄介が現れたって訳だ」 「……へ?」  その会話の流れで俺の方は普通に言っていたつもりだったのだけど、雄介はその俺の言葉に目を丸くしながら見つめていたようにも思える。 「え? あ、いや、ただ単に、本当に雄介が現れただけで、しかも、お前に告白された訳だろ? だから、付き合ってみようかな? と思っただけであって、その、本気で好きではなかったっていうのかな?」  今の俺は何か焦り過ぎてて無茶苦茶な事を言ってるような気がする。 そう自分さえも雄介に何を言っているのか分かっている状態ではなかったのだから。  流石に雄介の方も理解出来てないようで、その俺の言葉に黙ったままだった。 「あ、いや……前にも話した事があるんだけど、だって、そうだったんだって……お前と付き合い出した頃っていうのはさ」  何だかただの言い訳っぽくなっているのかもしれないのだけど……。 「あー……んー」  そう俺が考えていると、 「ま、最初の頃はそうやったのかもしれへんけど、今はどうなん?」 「え?」  久しぶりの雄介からの直球な質問。 でも、今の俺っていうのは、 「今は……お前のことを好きに決まってんだろ」  そう呟くように言うのだ。  素直になれた俺だって流石にそんな直球な質問っていうのは、恥ずかしくて普通の声では答える事が出来ない。 「ま、それならええか……っていうか、それはそれでええよ。 だってなぁ、その頃っていうのはまだ迷っておった頃だったやろ? それでも俺と付き合っていってて、俺の事好きになってくれてったっていうんやったら良かったと思ってるしなぁ」 「え? あ、そっか……ま、そうだよな。その時の俺は雄介と付き合ってみてダメだったら諦めようって思ってたしな。 これだけ長く雄介といられているっていう事は俺は今でも雄介の事が好きだっていう事だもんな」  さっきまで自信がなかった俺だったけど、雄介のその言葉で自信がついたような気がする。 「せやね、望とは今まで沢山喧嘩してきたと思うけど、なんやろ? それだけ喧嘩してきてもずっと一緒に居られているってある意味凄い事なんと違うの?」 「あ、ああ……そうなのかもな。 そう言われてみればそうだよな。 そう考えてみると不思議なんだよな? ホント、俺等って結構喧嘩して来た感じがあるんだけどさ、なんだかんだで元通りになってるしさ。 そりゃ、最初の頃っていうのは和也が仲裁に入ってくれてたけどさ」 「そういや、確かに毎回和也が仲裁に入ってくれてたんやっけな」  そう雄介の方も思い出してくれたのか、ポンッと手を叩いていた。 「そうなんだよ。 あれでも、和也は俺と雄介が付き合う前っていうのは邪魔ばっかしてたんだけどな、ある事をきっかけに邪魔しなくなってんだよな。 寧ろ、俺達の仲を持ってくれてたのは和也なんだよ」 「確かにそうなのかもしれへんな。 あれ? この話、望にした事あったんだっけな?」 「へ? どんな話だ?」 「望と一番最初に喧嘩した時があったやろ? その時は全然会えなくて、望が温もりを忘れたくない。 って言ってた頃なんやけどな?」 「ああ、そんな事もあったな」 「そん時だって、俺等の間に入ってくれたのは和也だったんやで」 「あ、うん、確かにそうだったな」

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