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ー鼓動ー112
「あ、え? ん……」
またそれを振られて悩む俺。
そう何遍も言われても答えなんか出てこない。
しかもさっきまで順調に雄介と会話があったのに急に無くなってしまったような気がする。
きっと時間があり過ぎて話が尽きてしまったという事だろう。 ホント、俺達っていうのはこういった暇が出来ても上手く時間を潰すっていう事が苦手らしい。
そうだ、今まで雄介とこんな時間を過ごした事がなかったからだ。
「あ、うん」
「やっぱ、その日に考えよう? 今は今の時間を楽しむのがええんやろうしな」
「え? あ、そうだな」
前に雄介に質問した事があったような気がする。 雄介は今を生きるタイプだって言っていた。 だから未来の事は計画しないっていう事なんだろう。 ま、最初っから出掛けるって決めてる時は違うのであろうけど。 今回の事は元から決まっていた事ではない。 急に決まった事なのだからそこは仕方がないところだ。
「でも……まだ、時間あるな」
「確かに」
「望とこうやってのんびりと会話するのもええねんけどな、でも、ちょっと時間を持て余してもうてるっていうんか……って、別に飽きたとかそういう意味じゃないんやで」
そう最後の方は焦ったように言う雄介。
確かに言葉というのは難しい。 しかもその言葉次第で喧嘩になったりする訳で、そこが難しい所なのかもしれない。
「クス……分かってるって。 今までの俺達っていうのは常に動いてたからな、暇になるとどうしたらいいのか? っていうのがわからないっていう事だろ?」
「あ、え? ぅん……そういうこっちゃな」
そう申し訳無さそうにしている雄介。
それから適当に飲み物を取って来て、どうにか時間を潰した俺達は、
「そろそろ、時間の方、大丈夫やない?」
そう腕時計を見て嬉しそうに言う雄介。
「え? あ、ああ……そうだな」
と俺の方も時間を確認するのだ。
そしてさっき言っていたようにここは俺が会計を済ませて店を後にする。
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