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ー鼓動ー119
「んー、望は俺にそうして欲しい?」
そう呟くように言う雄介。
「……へ? あ、ああ……ん? そうだな」
そう俺の方は今の雄介の言葉に言葉を詰まらせる。
そう言われてみると実際どうなんだろ?
いや前にそんな事を言ったような気がするのだけど……そう、
『お前には決断力がない!』
と。 でも、今は? 雄介は医者になってからは仕事では決断力を付けて来たと思う。 そうじゃないと医者っていう仕事は務まらないからだ。
でもプライベートでは?
そこは、前と変わらないのかな? だって実際今だって未だに俺に手を出して来ない雄介。 そう見るとプライベートではまだ俺の事を引っ張ってないような気がする。 でも、さっき、ホテルに入る時には俺の事を引っ張ってくれたような気もする。
雄介は男らしいところもそりゃあるけど、こういう事に関してはガッツいていないのかもしれない。
「んー、俺は今のままの雄介がいいかな?」
その俺の答えに頭にハテナマークを浮かべているような表情で俺の事を見ている雄介。
「え? あ……んー、だから、仕事の時にはちゃんとやってくれるようになったし、ま、プライベートの方は別にこのままでいいかな? って思っただけなんだけど?」
これでも俺は言葉を選んで雄介に言ったつもりだったのだけど、それがちゃんと雄介に伝わっているだろうか?
「んー?」
……そう考えてる所を見ると今の俺の言葉を理解してくれてない?
「あー、えー、ん……そうだな。 あ、だから、何だろう? 今だって俺の事抱く気でここに来ているのに、ん、お風呂に出てきてから……その……テレビ見ちゃってるし……その……テレビ見て……あ……ん……いや……何でもない!」
そう言って急に自分が言おうとしている事に気付いてしまった俺は、そこで言葉を止めてしまっていた。
「へ? あ、そうか、ほんなら、望も望んでいるって事か!?」
「へ? え!? あ、いや、そういう訳でもなくて」
「そういう訳やなかったら、約束せぇへんやろ?」
「あ……」
……あ、まぁ……確かに。
……どっからそういう会話になったのか分からないんだけど、まぁ、いいかな? 別に俺は雄介に抱かれるのは嫌いじゃないしな。
「ほな、いいんやな?」
「え? あ……ぅん」
気付いたら雄介に上半身だけをベッドの上へと寝かせられていて、もう雄介の顔が目の前にあった。
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