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ー鼓動ー125

「ん……ぁ……」  俺の方はその舌の動きに合わせてなんて事、流石に恥ずかしくて出来ない。 出来る筈もなく、ただ雄介が入れてくる舌に逃げているだけだ。  ……あ、そういうとこ素直じゃないな。  でも今日の雄介はしつこかった。 俺が口内で舌を逃げていてもそれでも舌を絡めようとしてくる。  しかも、その行為が長い。  鼻で呼吸する事は知っていたけど段々を呼吸が荒くなっていくのが分かった。 「ぁ……ふぅ……ん……」  俺はその雄介のあまりのしつこさに雄介の肩を押す。  そして離れたと同時に荒い呼吸を繰り返し今まで体に酸素が行き渡らなかった分を取り込むのだ。  雄介はただそれを微笑みながら見つめてくるだけだった。 「ホンマ……望って可愛えなぁ」 「……え? はぁ……はぁ……」  そうまだ乱れている呼吸の中ではそれしか答えられない俺。  呼吸が落ち着く間もなく雄介はベッドの上に置いてあった紙袋を器用に俺の腰を抱きながら取る。  ……あれはさっきの。  いつに間にベッドの上のとこにその紙袋を置いておいたのかは知らないのだけど、その紙袋の中身はさっき買ったローション等だ。  部屋内には雄介が紙袋を開ける音が響いているだけだった。  そしてベッドの上に散らばす雄介。 「とりあえず……ローションなぁ。 ま、後はどれがええ? さっきの店で玩具も買ってきておいたし」  俺はその玩具を手にする雄介の事を見てなかったのだけどベッドの上には数個置いてあった。 「お前、いつの間にそんなに買ってたんだ?」  そう冷めたように言う俺。 「確かにここではそないに使うつもりないんやけど。 ほら、東京にはあまり来る機会なんてないやろ? せやから、島にも持ち帰る為と和也達のお土産に……やな……」 「はぁ!? お土産!?」 「今回、和也達には島にお留守番って事になってもうたやんか、せやから、お土産やねん」 「そんな事したら、俺等がこういうとこに来たのバレバレじゃねぇのか?」 「和也単体やったら、別に弄って来ないし、朔望達が帰ったら、和也に渡せばええんやろ?」 「あ……」  ……確かにそれだったら、いいのかもしれない。  と納得してしまっている俺。 「ほんで……今、望が使いたいと思っとる玩具はあるんか?」  それを振られて、 「え? あ、あー! そんなのねぇからっ!」  そういつものように答えてしまっていた。  だけど雄介の方は俺がそう答えるのを分かっていたようだ。 「ま、望なら、そう答えると思ったわぁ……せやから、気にせんけどな。 ほな、俺が決めてええやんな?」

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