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ー鼓動ー132

「ぁあ! んん!」  それが俺の後ろの蕾の辺りを行ったり来たりと擦られていると俺は背中を反らし声を上げる。  久しぶりの感覚に俺は思わず「気持ちいい」と言いそうになったのだけど、その言葉を押し込める。  そんな事言ったら雄介の事だから調子に乗るに決まっている。  今日は調子に乗られて雄介に暴走でもされたら俺だって確実に乱れてしまうだろう。 何だか俺の中でそれだけは避けたいという思いがあるようだ。  多分、ここで今日は気持ち良くなって溺れる事が出来ればいいのであろうけど、今日を過ぎたら本当にホント次いつこういう事が出来るかって今の所分かったもんじゃない。  いや毎回、俺はそう思っている。  俺達は毎日のように忙しすぎて、毎回、毎回、こういう事する時間さえも取れない事の方が多く、気がつくと何ヶ月もしてない時だってある。  だから体が無意識にこの行為に溺れないように制御しているであろう。  でも気持ちいいんなら、トコトン快感に溺れていたい時だってある。  それが、まさしく今だ。  もう何年も一緒にいる俺達。 体を重ねてきた回数だってそれなりにある。 だから体はもう雄介の温もりや気持ち良さなんて事、当たり前に知っている。  だから、もう雄介とは離れられないと思っているのかもしれない。  今度、雄介はその玩具を俺の後ろの蕾へと入れようとしているようだ。 「え? ぁ……ちょ……あー」 「大丈夫やから……力抜いとってなぁ」 「え? あ、ぅん……」  どうしても俺的に苦手なのは指でも玩具でも雄介のモノでも、この挿れる瞬間だ。  挿れる瞬間っていうのは俺は痛くて苦手だ。  毎回、時間が経ってから、ヤるからなのか狭くなっているようで本当に未だに入れる瞬間だけは苦手だった。  中に入ってしまえば、痛みはなくなるからいいのだけど。 「ふぅ……ん!」  どうしてもこの入れる瞬間に力が入ってしまう。  それは人間だから普通の反応といえば普通の反応なのかもしれないのだけど。 「そう力むなって」 「そんな事言われても無理なもんは無理だ……っ! 痛いんだから力が入ってしまうのは当たり前の事だろ?」

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