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ー鼓動ー133

「ゆっくり痛くないように入れてってやるし……なぁ?」  そう下の方で優しく微笑む雄介。  その顔に久し振りに安堵出来たような気がする。  そう力んでいた体からフッと力が抜けたような気がしたからだ。  その様子を雄介は見ていたのかグッとその玩具を入れて来た。 「フッ……ん!」  再び俺の体に力が入ってしまっていた。  でも、もう既に玩具は俺の後ろの蕾の中に半分位まで入っていたようだ。 「なんや……こうやっておるとココの中に座薬入れておるみたいやなぁ」  その雄介の言葉に俺は顔を真っ赤にする。  そうだ、雄介が言ったその言葉で俺は直ぐに想像してしまったからであろう。 「ぁ……え? そ、そういう事言うなよ。 しかも、普通はこんな体勢からは入れないだろ?」 「へ? あ、まぁ、そうなんやけど、もし、望が熱出した時にはこうやって座薬中に入れたるし」  そう笑顔で言ってる雄介。 本気なのか? 本気じゃないのかがそれでは分からない。 でも確かに他の人に入れられる位なら恋人である雄介に入れて貰った方がいいのかもしれないとも思ってしまっていた。 「も、それはいいから」 「せやったな……今はこっちに集中せなアカンかったな」 「そういう事だ」  そう俺は頬を膨らませながら雄介の頭を軽く小突くのだ。 「……って事は……望はこういう事の方がええっちゅうって事か?」 「……はぁ!?」  そう素で聞いてきているであろう雄介。  雄介の表情からはふざけて言っている様子は一切感じられない。  その雄介の様子に軽く息を吐く。  ……こう雄介の事を見てるだけで安心するのはどうしてだろうか?  きっと和也みたく雄介には下心みたいなのがないからなのかもしれない。  雄介はこういつも俺に対しては嘘偽りなんか無さそうな感じがするからだ。  ……だから、俺は雄介の事が素直に好きなんであろう。

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