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ー鼓動ー139
そして雄介はその俺の表情に気付いたのか言葉を続ける。
「そりゃ、若い時だったら、毎日のようにシたいと思うねんやろうけど、もう、こういう年になってくると、そないにシたいっていう気持ちにはならんっていうんかな? あ、いや……望ん事嫌いになったからとかやないから安心して。 んー、逆やねんなぁ、好きやから守りたいっていうんかな? 別にそうがっつかんでも側に望がおるっていう事で安心感があるっちゅうんかな? せやから、そうしたいって思わんようになったって言ったらええんかな?」
そう真面目に答えてくれる雄介。
逆に俺が聞いてみた事がバカらしくなってくる。
「でも、今回はな、やっと心に余裕出来たから、シたいって気持ちになったっていうんか」
「心に余裕!?」
「んー、やっぱ、こういう機会って今の俺達にはない事やろ? 毎日のように忙しかったりして、こう頭とか心に余裕がなかったから、こういう考えには至らなかったっていうんか? あーでも、それやとやっぱ違うんかな? んー、そういう事やと望が言ってる答えにはなっておらんっていう事かいな」
そうまた真剣に考え始める雄介。
「でもな、そうやし。 でも、確かに若い頃に比べたら性欲っていうのは無くなったって感じはするわぁ」
「まぁ、そこは、体の衰えだろ?」
と俺はクスクスと笑いながら言う。
だって、そう聞くと、それしかないからだ。
「でもな、体の衰えで性欲が無くなったっていうんはなんか嫌やねんな。 やっぱ、心と体に余裕出来たからなんかな? あ、違う……体の衰えっていうんのもあるんかもしれへんけど、望にあまり負担掛けたくないっていうんかな? こんだけ忙しいと望の体の事考えたら次の日に疲れとか残したくないやろ? きっと、そう思うとったから望ん事抱きたいって思わへんようになったのかもしれへんな」
その雄介の言葉に俺は吹きそうになっていた。
「あのさ……それって……俺の体の衰えの方を言ってないか?」
その言葉に雄介の方が今度目を丸くすると俺の事を見上げてくる。
そして頭をぐちゃぐちゃに掻きながら、
「あー! やっぱ、言葉って難しいわぁ!! せやね、確かに今の言葉やと望にそう聞き取られてもしゃーないわぁ……あー! んー! なんか違う! 違う!」
もう、その雄介に俺は吹いてる事しか出来なかった。
そう長年雄介と一緒にいるから雄介が言いたい事が分かるというのか、今、雄介は俺の為に一生懸命考えてくれていたという事が十分に伝わってきてるからなのかもしれない。
「ま、体の衰えっていうのは仕方ねぇよ。 それは、確かに事実だからさ。 ま、雄介が俺の質問に真面目考えてくれた事が今の俺には嬉しいからさ」
そう言う俺に雄介はまた目を丸くして見上げてきていた。
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