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ー鼓動ー173

 そうやって雄介と会話をしながら川沿いを歩いて家の方へと向かう。  家の近くにそのスーパーはある。  そして雄介はいつものように買物を済ませると家へと向かう俺達。  荷物だって相変わらず雄介が持ってくれて、本当に雄介は優しい。  これがもし夫婦になれていたとしたら、いい旦那さんなんだろうなぁ、とも今は思ってしまう程だ。  でも日本では同性同士では結婚は今はまだ出来ない。 今はまだ同性同士で住むという事がある自治体だけが可能なだけ。  ま、同性同士じゃ夫婦とも言わないんだけど。  きっと雄介ならイクメンにもなりそうだ。  それは琉斗の面倒を見ていた時に思った事なんだけどな。  ……やっぱ、俺は女に生まれてくれば良かったのかな? いやいや……そんな事はない。  だって雄介は男の俺を好きになってくれたのだから。  ……そこは違うのかもしれないな。  そして家へと到着する。  久しぶりに帰宅してくるとその家の匂いがある。  それさえも今日は懐かしく感じる。 「なぁ、この家の匂いも懐かしくねぇ?」 「え? あ、まぁ……そやな……」  雄介は靴を脱ぎながらそう答える。 「確かに各家には匂いっていうのはあるわなぁ……普段は匂い慣れしとるから感じないんやけど、こうしてたまに帰って来るとその家の匂いっていうのが分かるっていうんかな」 「そうそう! たまに帰って来ると……分かるんだよな?」  靴を脱ぎ終えるとリビングの方へと向かう俺達。 「ほんで、どないするん? 一緒にお風呂に入るんか? それともご飯の用意してるうちにお風呂に入って来てまうか?」  リビングに入って来ると雄介は荷物を冷蔵庫の中へとしまう作業を始める。  ホント雄介には休んでる暇っていうのがあるのであろうか? っていう位、雄介の方が動いているようにも思える。 「え? あ、後でいいよ……お前と一緒に入るし」 「そっか……ほな、待てとって」 「あ、うん……」

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