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ー鼓動ー178
「あ、うん……あ、そういう事か……」
別にキスなんて事は日常茶飯事なのにこうストレートに言われると抵抗があるというのかなんていうのか、こう素直には言えないというのかなんていうのか……。
「あ、え? だから、それはいいんじゃねぇ?」
とは言ってみるものの視線は完全に雄介からは外している。
「ほなな……」
そう言うって事は今からする? って事かな?
やっぱ、そう言われると構えてしまうから緊張してしまうというのかなんていうのか……。
「後でな……」
……って、変な所で言葉を止めるなよっ!
「あ、うん……」
「って、残念そうにしとるみたいやけど、今が良かったんか?」
「あ、いや……そういう訳じゃ……ないんだけどよ」
「ほな、どういう事やねん」
そう追求してくる雄介。
まさか雄介がキス一つでそこまで追求してくるなんて思ってなかった事だ。
「あ、いや……別に……」
いつもの調子で答えてしまっている俺。
フッと雄介の事を見上げると何だか今日の雄介は切なそうな顔で俺の事を見ていた。
その雄介の切なそうな顔に俺はヤバいと思ったのか、正直に今の気持ちを言う気持ちになってしまっていたのかもしれない。
「あ、だからさ……キスは全然いいんだけど……その……そういう風に言われると構えてしまうっていうのか……緊張してしまうっていうのか? 逆に『キスしていい?』って言われてスッとしてくれた方がいいっていうのか……」
俺がそう正直に言うと雄介は何故だかクスクスとしていた。
「あ、まぁ……望がそう言うんやったらその方がええのかもしれへんな。 分かった……望がそういう風に言ってくれたんなら、これからそうする事にするわぁ」
そう言って雄介はソファへと寄り掛かかる。
「……へ?」
そんな雄介の行動に気が抜けてしまったの方は俺なのかもしれない。
確かに今のは俺が雄介に正直に言ったから喧嘩は回避出来た。 でも俺のその言葉を聞いて雄介の方は仕掛けて来なくなったというのであろうか。
……いいのか? 悪いのか?
そこは本当に悩む所だ。
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