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ー鼓動ー179
「ほな、風呂入ろうか? きっともう用意出来とると思うで……」
そうさっき言っていた事はなかったように言う雄介。
そこは切り替え上手という所であろうか。
そこに俺は頷くのだ。
前まで雄介と一緒にお風呂に入る事は恥ずかしくて仕方なかったのだけど今は慣れたのか一緒に服を脱げるようにまでなったいた俺。
もう雄介の前で服を脱ぐ事に抵抗はない。
そして中に入ってシャワーは流石に先に俺が浴びるのだけど、いつも雄介は後からシャワーを浴びている。
そうする事で洗う時間は俺の方が少し早い位で一緒に浴槽に浸かるのだった。
そこで対面に座ってゆっくり話す時間もある。
島の時だったら仕事の話とかしているのだけど、もう雄介とはそんなに話す事ないのかもしれない。
今回みんなに休憩の時間を貰って東京に来ている俺達。 だから雄介とこうやってゆっくり話をしている時間はいっぱいあった。 だからもうそんなに話す事が無い。
体を洗い終えて一緒に浴槽へと入る。
「ほんで、今日は、軽く仕事をしてきてもうたけど、望の方はどうだったん?」
「……へ? あ、そうな……いつもと変わらない感じだったかな?」
確かに今日は春坂病院の救急俺達は働いていたのだけど、流石に雄介と俺は離れて働いていた。 しかも雄介とは科も違う。
「雄介の方は?」
「俺の方もいつもと変わらない感じやったかな? 特に重篤な患者さんはおらんかったしな。 それが、一番ええんやって……寧ろ子供の場合には高熱出たら救急で来て欲しいって俺は思うし、子供の場合、何があるか分からへんからな。 たまにおるやんか、たった高熱で救急利用すんな! みたいな顔する人……俺はそこは違うなって思うねんな。 高熱って事は少なくとも何かの病気なんやからなぁ。 ま、救急で来てみて、ただの風邪やったら少しは安心出来るやろうし……もし、重篤な病気やったらそこで入院すればいい事なんやしな」
「ま、それは言えてるよな。 俺達は医者としてプロだから、診たり検査すれば何だか分かるのかもしれないけど……そういう知識がない人は分からないんだから、そこは医者に任せた方がいいと俺も思うところだしな」
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