180 / 856

ー鼓動ー180

「うん! うん! それがええ! それがええ!」  そう言うと雄介は手をお湯につけ顔を洗っていた。 「せやけど……アレなんやなぁ? んーなんて言うんかな? 救急車で例え夜中に病院来て風邪だった場合、直ぐに帰宅出来んねんけど……問題は帰る時やねんな。 もしよ……家の近くに救急で扱ってくれる病院がなかったら帰り家まで帰れへんやんか……ま、タクシーは夜中でも停まっておるんやけど、急いで出てきたーとかで慌てておったら財布とかも忘れてもうたらどないすんねんな」 「流石にそこまで俺はなった事ないからな。 まぁ、大抵の人は保険証とか持っては出なきゃなんないだろうから少なくとも財布は持って出るだろうし」 「ま、そっか……それは流石にないか」 「だから、そこまで心配する必要はねぇんじゃねぇかな?」 「ま、そうやんな……」  そう言うと雄介は浴槽の壁へと寄りかかる。 「でも、今日はホンマ久しぶりに春坂病院で働かせてもろうたわぁ……いやぁー、久しぶりに忙しかったし、仕事してるー! って感じやったな」 「ま、確かのそれはあるのかもしれないな。 仕事は俺達にしてみたら生きがいみたいなもんだしな」 「そういう事なんやって……せやから、帰宅してきてからのお風呂は気持ちええって感じるんやろな」 「まぁな……」  と俺の方も浴槽の壁に体を預ける。  確かに今日は久しぶりに仕事をしたっ! って感じだったのだけど疲れてはいないような気がする。  雄介の方は暫くボッーとしていたのだけど、 「ほな、少しゆっくり出来たし出ようか?」 「ああ、そうだな」  そう俺達はお風呂場を後にする。  しかし寝る所は例の地下室しかない。  俺は着替えてから雄介の後に付いて地下室へと向かう。  そこで地下室の電気を点ける雄介。  やっぱり俺達が住んでる時と変わらず壁には無数の玩具とかが置いてあった。 「ここは相変わらずなんやなぁ」 「え? あ、まぁ……そうだな」

ともだちにシェアしよう!