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ー鼓動ー211

「ほなら、こういう事、我慢すんの体に良くないっていうのは分かっておるんやろ?」  そう言うと雄介は俺の体を優しく抱き締めてきてくれる。 「あ、え? あ、ぅん……まぁ……そうだな……」  そう言われてしまうと俺の方も素直に答えるしかなかった。 「ほなら、シてええ?」 「は、はいぃぃぃ!?」  その雄介の言葉に俺は雄介のことを見上げる。 「だって、お前は今日は……調子悪いんだろ?」  そう慌てながら俺は雄介に言葉を返すのだ。 「んー、多分、大丈夫やと思うで……対処も早かったし、少し寝たしな」  ……そう言われてみればもう雄介の体は熱くないような気がする。 「そんなに早く熱中症って回復出来たっけ?」 「そりゃ、重症化したらアカンのかもしれへんけど、多分、俺の場合には軽かった方やし、さっきも言ったけど、対処も早かったからやないかなぁ?」 「あ……」  そう言われてみれば、さっきより雄介は元気そうだ。  声にも張りがある。 「あ、でも……今回は俺だけが……なんていうんか……その……俺のが……勝手に勃ってきたっていうだけであって……雄介には関係ないっていうのかなんていうのか……」 「そうやったんか」  そう言うと雄介はそこで一旦言葉を止める。 「ほなら、俺もって言うたらどないする?」 「……へ?」  俺はその言葉に雄介の事を見上げる。 「さっき望の色っぽい顔見ておったら、俺の方もシたくなってきたからな」  更に雄介は腕の力を強めて俺の体を抱き締めて来るのだ。 「……え? あー」  そんな事言われても俺が簡単に素直にいいですよ……って答えられる訳がない。 「俺もお前もそういう気分なんやし、ええやろ? シても……」 「あ……え?」  そこまで言われるともう後は頷くしかなかった俺は頭を頷かせる。

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