213 / 855

ー鼓動ー213

 その雄介からの提案に流石の俺は首を横に振る。  ……流石に素面の状態で俺がそういう事一人で出来る訳がない。 確かに前にそんな事を雄介の前でやったような記憶はあるのだけど、それは多分お酒とかを飲んだ後だったり、熱を出して記憶を失っている状態の俺だったから、そういう事が出来たのかもしれないのだけど普通の俺の状態ではそんな事が出来る筈もなかった。 「ま、望やったらそうやんな。 でも、もし、俺がいない時に一人でヤりたくなったらどうするん?」 「だって、それはもうないだろ? ずっと俺と一緒に行動してる方が多い訳だしな」 「ま、確かにそれもそうやねんけど……でも、自分でヤるの知っておいた方がええんじゃないかと思ってな。 それに今日は望の方がそういう気なんやろ? それにたまには変わった感じっていうのもありやと思うしな」  そう言われて一瞬俺の頭に自分でやっている姿を思い浮かべてしまっていた。  やっぱり何回考えてもその姿は恥ずかしくて俺には無理に近い。 「そんでも、無理だから。 恥ずかしくて俺にそんな事出来る訳ないだろ? それなら、雄介も同じ事してくれたら、考えてやってもいいけど?」 「……へ?」  その俺の提案に雄介は目を丸くして俺の事を見ていた。 「あ、いや……流石にそれは……俺も出来へん?」  そう俺から視線を外して言う雄介。 「だろ? なら、俺だって無理に決まってるじゃねぇか」  そう言うと雄介からは言葉が返って来なかった。 「ほなら、どうしよ」 「普通にすればいいじゃねぇか……別にそこは拒んでねぇしな」 「普通にっていうんがな……ちょ、なんていうんか……最近はマンネリ化してるような気もするし」 「そんな事はねぇって言ってんだろ? しかも、俺がシていいって言ってるんだしさ」

ともだちにシェアしよう!