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ー鼓動ー225

 そんな俺を見て雄介はため息を吐いた。  確かに俺はわがままな性格だ。 だから雄介に呆れられても仕方ないと思ってるけど。  でも雄介はそんな俺の両方の二の腕を掴んできて、 「まぁ、望がそういう性格なんは知っておるからええねんけどな。 そういう望に付いていきたいって思ったのは俺の方なんやし」  そう真剣に言ってくる雄介。  その言葉に俺は顔を上げる。  すると、そこには笑顔の雄介があった。  今度こっちが目を丸くする番だ。  俺がわがままな事を言っても許してくれる雄介。 そんなわがままな俺でも付いてくるって言っている。  俺は雄介にどれだけ愛されているのかが分かるような気がする。  きっと普通のカップルとかだったら、ここで喧嘩でも始めるのかもしれないのだけど雄介の場合は違う。 そう俺の事を受け入れてくれるのだ。  ……本当に雄介……お前は優し過ぎるよ。  しかも、その後には俺の体をギュッと抱き締めてくれる。  ……そうされると、何だか落ち着く。 「ゴメン……本当にゴメンな」 「何がや……」  と今度優しい声が上から降ってきた。 「だから、俺がわがままでさ。 でも、雄介ってホントそんな俺でも受け入れてくれるし」 「ま……好きやからな……望ん事……」  そう言われると急に心臓がドキドキと早まってきたのが分かった。  ……俺も雄介の事好きだ。  そう素直に言えたら楽なのに……と何回思った事だろう。  でも俺の口からはそんな言葉は直ぐには出て来ない。  だから、 「あ、俺も……」  位でしか言えなかった。  そんな俺でも雄介は、 「ありがとうな」  と言ってきてくれる。  雄介の温かい腕の中に抱かれて段々と俺の心が落ち着いてくる。  ……幸せってこういう事を言うのかな?  ……愛情っていうのはこういう事を言うのかな?  本当に雄介は俺に対して愛情をも注いでくれるような気がする。  しかも雄介の場合には本当に本当に俺の事が好きなんだっていうのが伝わってくる。  それは言葉にしなくても大丈夫な位だった。

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