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ー鼓動ー259

「あー、もう!! そういう恥ずかしい事平気に言うなっ!!」  そう返すと雄介の方はクスクスとしていた。 「やっぱ、俺はそういう望の方が好きやで……」 「あー!! もうこっちが恥ずかしくなってくるっつーの!!」 「望の事好きなんやからしゃーないやろ? あ!」  と急に大声を出す雄介。  俺はその声に雄介の事を見ていると、 「携帯切るの忘れておったわぁ。 こういう機能そうそう使わんからなぁ、せやから、カメラモード切るの忘れておったわぁ」  そう言って携帯を操作してやっといつもの画面に戻す雄介。 「今日は望のおかげでええもん撮れたし、俺はこれだけでも満足やしな」 「……って、最後のやつも入っちまったのか?」 「最後のって?」  雄介は胡座の上にタオルを掛けたまま俺の方を見つめてくる。  さっき俺は雄介の膝の上から下ろされていて今はベッドの上にいる。 「あー、だからだな……その……好きとかの話のやつもか?」  と俺の方は体も冷めてしまった事もあって、そういう話になると雄介から視線を外してしまっていた。 「そうやろな!? 好きとかの後にカメラの方切っておる訳やし」 「あー、そうか……」 「なんや、不満そうやんな?」 「あ、いや……そういう訳じゃ……嬉しいって程でもないんだけど……ちゃんと記念みたいなのにはなったのかな? って思ってさ」  ……本当は少しは嬉しいのかもしれないけど、俺の場合、そういう事を素直に言える性格ではない。 きっと雄介の事だから伝わってると思うのだけどな。 「ま、記念にはちゃんとなったわなぁ……望のおかげでな」 「あー、それなら、いいか?」 「だって、言うたやろ? 俺にとっては満足やって」 「あ、そうだったな」  そこで話が終わったのか雄介は、 「ほな、もう寝ようか? ほんで、明日はどないする?」  そう言って雄介は服を着始めていた。  ついでにっていうのもおかしいのだけど俺の方もパジャマへと着替える。  そして二人同時に布団の中へと入るのだ。

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