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ー鼓動ー260
「あ、そうだな。 また、病院で働くっていうのもいいんじゃねぇ?」
「でもな……今日はもう遅いし、明日は辞めておこうや? 望の方やって腰とかにきてるだろうしな」
……そうやって俺に気を使ってくれるくれる所なんか本当に雄介は優しいと思う。
部屋はもう暗くなっているが、きっと今の雄介は笑顔で言ってるだろう。
「あ、まぁ、そうだな……。 だけど、暇っていうのかなんていうのか、だって、後三日位あんだろ?」
「んじゃあ、もう、島の方に帰るか?」
「あ……んー。 ってか定期便が無いじゃないか」
「あ、そうやった」
本当に雄介ってこうしてたまに抜けてる所がある。 ま、そこはお互い様なのかな?
「まぁ、昼位までゆっくりして、そっからどうするか? って事やんな」
「ああ、まぁ、そうだよな」
俺は暫く考えてみるのだけど、やっぱりいい考えは浮かばない。
……ホント、俺達って暇を潰す方が難しいという事だ。
「ま、いいか、明日起きてからまた考えようぜ。 今日はもう疲れちまったからよ」
「あ、そうやな」
俺がそう言うと優しく返してくれる所がまたいい所だ。
そして俺は瞳を閉じる。
多分、雄介の方も瞳を閉じているのであろう。
そして次の朝。
いつもの癖なのか、いつもと変わらない時間に目を覚ました俺。
今日も雄介は隣で寝息を立てていた。
最近、雄介が俺より起きるのが遅い気がする。
でも、こうしてゆっくりと雄介の寝顔を見れる事はそんなにない。 だから俺は横向きになって雄介の方に視線を向ける。
昨日は確か雄介の方がというのか見ていたら起きていたらしく気づかれたが今日はどうなんだろうか?
ホント羨ましい位に雄介は寝顔さえもカッコいい。
誰しも寝顔は可愛いというのだけど、まさに雄介もそんな感じだった。
だが今日は本当に雄介が起きてくる気配がない。
先に目覚めてしまった俺は暇で仕方なかった。
一体、どうしたらいいんだろ?
そう考えていると、
「あ! そうだ!!」
と半身を起こして洋服に着替えると上にあるキッチンへと向かう。
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