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ー鼓動ー267

「あ、ああ、そうだな」 「九時過ぎた位から少しは空いてくると思うし」 「……って事は普段からでも混んでるもんなのか?」 「まぁ、多少はな」 「しかも、知っとるか? 東京のメインの電車は三分置きに来てるんやで、それでも、満員電車なんやからなぁ」 「そんだけ人がいるって事なのか。 何だか島の暮らしが懐かしく感じる位だな。 あそこは人も少ないし、電車も走ってないし、静かだしなぁ」 「まだ、四日位しか経ってないのに!?」 「ん? まぁな……島は静かだし、ゴミゴミってしてないし、やっぱ、あそこの暮らしはいいのかもしれないよな?」 「まぁ、不便な点は沢山あんねんけどな。 食材もそないに簡単には手に入んないし、あれ? そん位なんかな? 不便って思う所は」 「……となると島の方がいいって事になんじゃねぇのか?」 「まぁ、そうなのかもしれへんわぁ……ま、えっか……」  暫く俺達は適当に会話を続け、それからのんびりと出掛けることにした。  俺は本当に今まで電車に乗った事がない。 だから雄介に後に付いて行く。  どうやらこっからだと一回乗り換えれば東京タワーの最寄駅に行けるらしい。  ……案外、電車って便利なのかもな。  電車での利点は渋滞がない事も俺からしてみたら運転しなくてもいいという所だろう。  しかも雄介の言った通りにピークに比べたら空いてて座れたという所なのかもしれない。  電車は何もない限りは定刻の時間に着くっていうのもいいところだ。  そして一回乗り換えて、と思ったら結構大きな駅らしく次のホームまで行くのが簡単ではないようだ。  人混みの中を掻き分け目的のホームへと向かう。  そこは雄介に任せているのだけど雄介の方もキョロキョロと周りを見ながら進んでるようだった。  雄介は一体、何処をキョロキョロと見渡しているのであろうか。  確かに知らない駅なのかもしれないのだけど俺からしてみたら無駄に進んでるとしか思えなかった。  そして俺は雄介の側へと近づくと、 「雄介は何処を見てるんだ?」  と声を掛ける。 「あー、望は車ばっかやから、知らんのかもしれへんけど、駅にはな案内板っていうのがあってな上に付いていてそこを見れば俺達がこれから乗る場所のホームに行けるんやって」  そう言われて見上げてみると確かに車でもあるような案内板があった。 「へぇー、そういう事だったのか……」  でも、ある意味俺からしてみたら勉強になる。  まぁ、もうあまり電車は一人で利用する事は少ないのかもしれないけど、知っておいた方がいいのかもしれないと思ったからだ。

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