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ー鼓動ー268
そして目的のホームへと到着する。
「後はここに来る電車に乗って目的の駅に着くだけやな」
「へぇー、結構、簡単なんだな」
「電車も覚えてしまえば簡単なんやで。 後は地下鉄っていうのもあるしな。 まぁ、そこはまた今度な」
「え? あ、うん……」
俺達は電車が来るとその電車に乗ってその目的である駅へと向かうのだった。
その駅に到着すると、
「ほら、あそこに見えるやろ?」
「あ、ああ、本当だな。 こんな所にあったんだなー。 逆に来た事がないっていうのかな?」
「ま、そうなのかもしれへんな」
駅から降りて俺達はその目的の場所まで歩き始める。
するとマイクを持ったアナウンサーらしき人に声を掛けられた俺達。
「スイマセン! 今、あるクイズ番組でインタビューをしてるのですが」
「……へ? テレビなんか?」
「まぁ、そういう事ですね。 インタビューさせて貰ってもいいでしょうか?」
の言葉に俺と雄介は視線を合わせる。
俺は首を振ったのだけど雄介の方はどうやら乗る気らしい。
「ほなら、俺だけでええか?」
その言葉にまだカメラが回ってないのに俺は頷くだけにしておいた。
雄介はそのアナウンサーの方に顔を向けると、
「ほな、俺だけやったらええで」
「そうですか? 分かりました。 それじゃあ、カメラの方、回させてもらいますね」
とアナウンサーが言うとカメラマンさんはそのアナウンサーと雄介の方へとカメラを回していた。
「今日は何処へ行くのですか?」
「あー」
とカメラが回った途端に言葉を詰まらせている雄介。
きっと緊張しているのであろう。
しかも完全に視線を宙に浮かせてしまっているのだから。
「あ、せや! 東京タワーにな」
「それは観光目的なんでしょうか?」
「まぁ、一度も行った事がないしなぁ」
「そうなのですね。 では、本題の方に入らせていただきます。 『夏と言えば』何を連想しますか?」
「あ、あー、せやなぁ」
とまた雄介は視線を宙へと浮かせて考えている。
「海かな?」
「はい! ありがとうございました!!」
とどうやらそれだけだったらしい。 そこでカメラを止められたのだから。
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