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ー鼓動ー271

 エレベーターで降りると、そこにはお土産屋さんがあった。 「和也達にお土産買って行こうか?」 「……へ? あ、別にいいだろう買ってかなくてもさ」 「でもな……もう、和也達だって、そんなに東京に来れる訳じゃないだろうし」 「でも、お土産っていう年でもないような気もすんだけどな」 「お土産に年もあるんか?」 「まぁ、そう言われるとないような気もすんだけど」 「ほら、職場とかやったら、誰かがどっかに行ったら何かお土産って買って来るもんやんか」 「あー、そう言われてみればそうだな」 「せやろ? それだったら、買って行ってもええんやない?」 「まぁ、そっか……」  とそこで俺は雄介の言葉に納得する。 「まぁ、お菓子程度いいよな?」 「ま、そやな……って、アイツら何か嫌いなもんあったか?」 「多分、お菓子とかなら大丈夫なんじゃねぇのか?」 「あ、それと、朔望達にも何か買って行かないとアカンやろな。 寧ろ、和也達よりお礼しなきゃなんないやろうし」 「あ、そっか……」 「朔望達は何がええんやろ?」 「流石にそれは分からねぇな……ま、適当に買ってって、いらないって言われたら和也達に上げたらいいんじゃねぇのか?」 「ま、それでええか」  そう雄介に聞かれて本当に俺は朔望達の事は全然知らないという事を思い知らされた。  今の時代、もしかしたらアレルギーがあるかもしれない。 でも朔望達からそんな話は聞いた事がないのだから多分朔望達はアレルギーないと思う。  そして適当にお土産を選ぶとまた暇になった俺達。 「どうする?」  と今日何回この言葉を聞いただろうか。 「そうだな?」  と俺の方も同じ言葉ばっかりだ。 「とりあえず昼過ぎたし飯かな?」 「え? あ、そうだな……その飯だってどうするんだよ」 「今時間なら何処でも開いてると思うし、そこは全然考えてへんで、ま、またファミレスでもええしな……それとも牛丼屋さんにするか?」 「牛丼屋さん!?」  俺達は外のベンチに座って木陰の中で会話をしている。  今は夏なのだから、そういう所で休みながらの方がいいと思ったからだ。

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