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ー鼓動ー273
「ほなら、食い物屋巡りしよっか?」
その雄介の言葉に俺は飲んでいる飲み物を吹きそうになっていた。
「あ、あのな……さっきから言ってんだろ? お前人の話聞いてねぇのか? 俺はそんなに腹は減ってねぇんだって」
「あー、そうやったね。 俺やったらいくらでも食えんねんけどなぁ」
……どういう胃してんだ!?
と突っ込みたくなったのだけど、そこはため息に留めておく。
しかし日陰と言っても最近、東京の夏は本当に暑い。 風だって涼しいではなく熱風に近く日陰で休んでいても汗が滲んでくる位だ。
今までの俺はエアコンが効いた部屋で過ごしていたから昼間こんなに暑いなんて知らなかった事なのかもしれない。
だが意外だったのは雄介の方だ。
汗は掻いているものの「暑い」って言葉は少ないようにも思える。
そして食欲が全然劣ろっていない所も不思議な所でもある。
こんな暑いと俺みたいに食事が喉を通らないって事はあるのだけど雄介の場合はそれも無さそうだからだ。
……まぁ、きっと消防士の時代には暑いのは慣れてしまっているって事なのかもしれねぇけどな。 だけど気付けないから昨日みたいに熱中症になってしまうのかもしれねぇし。
だから、お年寄りが熱中症で倒れる事が多いのかもしれない。
お年寄りの場合はあまり暑さを感じないのか暑いからと言ってエアコンをあまり使用しないっていう傾向があるからとも聞いた事がある。
……ま、そういう事だよな。
と俺は納得してしまう。
「ほな、そろそろ飯は食いに行こうか?」
「え? あ、そうだな……」
……ま、確かにいつまでもここにいても仕方がない点もあるのだから、とりあえず雄介に着いて行ってその牛丼屋さんに入るしか今はないのかもしれない。
そして駅の近くにある牛丼屋さんに入って俺達はお腹いっぱいにさせると家に向かって帰って行くのだ。
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