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ー至福ー4

 しかし世界へと目を向けると今さっき言ったように戦争は今もなお続いている所だってあるのが現状だ。 自然災害は自然界が怒った時に起こる現象だけど、戦争っていうのは人間同士がぶつかり合って人の事を傷付けたり殺したりしてしまうのが戦争というものだ。 やはり人が人を傷付けて殺し合うというのは何か間違ってると思う。 そこはもし戦争が起きなかったら死なないで済む人もいるのだから、戦争というのはしないに越した事はないという事だ。  交通事故も戦争と何気に似ている事なのかもしれない。 これは人災だからだ。 もしかしたら、そこでちゃんとルールさえ守っていれば交通事故が起きる事がなかったのかもしれないのだから。  そう自然災害と人災で人が亡くなってしまうのは全く違う。 人災の方は気を付けるだけで未然に防ぐ事が出来るからだ。  そうやっていつもにように雄介が料理を作っている間に俺はテレビで情報番組を見ていると、今まではある地域だけで同性同士の結婚は認められていたものの今度はそれを全国的に認められるというニュースを流し始めたようだ。  俺はそのニュースを微笑みながら聞いていた。  確かに今まで同性同士で一緒に住むまでは認められていた事なのだけど、結婚までは流石に認められていなかったからだ。  って事は? もし自分と雄介と結婚したならば、『桜井 望』になるという事だろう。  そんな事を俺は頭の中で無意識に考えてしまった事で気付いた時には視線を天井へと向けてしまっていた。  人間って考え事をする時なんかは無意識に上を向いてしまうからなのかもしれない。 ま、そこは人間として当たり前な行動なのだから仕方がないだろう。  だが次の瞬間、和也の言葉に再びテレビへと視線を向ける事になる。 「へぇ、同性同士で結婚も許された訳だけど、子供も可って事にもなったんだな」  ……同性同士でも子供が可とは一体どういうことなんだろうか?  確かに女性同士の場合には、とりあえず他の人から種を貰ってお腹の中で育てる事は出来るのかもしれないけど、男性同士の場合のは? そこが謎な部分である。  だからなのか俺はテレビの方へと真剣な瞳で見つめる。  だが俺が考えていた事とは違っていたらしい。  流石に日本という国というのは戦争が無くて戦争孤児はいないのだけど、それでも親がいない理由等で施設で育っている子供達というのは沢山いる。 だからその子達を引き取って養子にする事で自分達の子供にするという事だ。  そこに納得する俺。  確かにそれだったら、同性同士でも子供が出来た事になるだろう。  それともう一つ言っていた事がある。

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