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ー至福ー5

 今はチラッとしか聞いてなかったのだけど、その時、雄介から、 「ご飯出来たでぇ」  と声を掛けられてしまった。  とりあえず俺と和也達は雄介に言われた通りに呼ばれたダイニングテーブルの方へと向かう。 テレビはとりあえず付けたままでだ。 だって今のニュースはこれから起こる事についてのニュースなのだから気になってた事だし、やっぱり雄介と俺、和也と裕実達にも大いに関係があったからだったのかもしれない。  今日、雄介が作ってくれたのは、オムライス。 雄介が作ってくれるオムライスっていうのは本当にレストランで食べれるような感じで卵がトロトロしてて本当に美味しい。 要は卵焼きが半熟状態だからその卵が本当にトロトロとしてて美味しいのだ。 勿論、中身も美味しいのだけど、なんて言っても卵の方が本当に美味し過ぎる位なのだから。  雄介が作る料理がオムライスっていうのが分かった所で、みんなで「いただきます」。 だが俺が今日注目したい話題っていうのはテレビの方で、このわずか数分でニュースでの話題が本格的に始まっていた。  同性同士での子供の話は確かに養子で出来るっていうのは納得出来た。 だが男性の場合には子供がお腹の中で育つまでというのは全くもって経験が出来る話ではない。 だから子供を養子で貰っても、やはり自分の子供ではないのだから、もしかしたら感情が入らないのではないかという意味で、十ヶ月間、お腹の中で擬似体験というのをしてもらえるらしい。 流石に人間のお腹の中に本物の赤ちゃんを入れる訳ではなく、そういった装置をお腹に付けると言った方がいいだろうか。  今までお父さん用にと重りが入ったのを着るみたいな事はあったのだけど、どうやらその重りが入った洋服みたいなのに温かみを持たせ五、六ヶ月になってくるとその重りみたいなのが動いて来るらしい。  そう考えるとその十ヶ月間というのは本当に自分のお腹に生命が宿ったという経験が本当に出来るという事なんだろう。 それで最終的に子供を引き取れば確かに完全に子供が産まれるまでの擬似体験が出来るという事だ。  気付いた時には俺の方は完全にテレビの方に釘付けでスプーンの動きが止まっていたらしく、 「望……どないしたん? 俺が作った飯不味いんか?」  とまで聞かれてしまう始末だったみたいだ。 それだけ今の俺っていうには真剣にそのニュースを見ていたという事なんだろう。 「ん? へ? あ、ああ、まぁ……。 あ、まぁ、あのな……雄介がご飯作っている間に、同性同士で結婚出来るようにもなったし、子供は養子で育てる事が出来るんだってよ」  それを聞いた途端の雄介の反応は、

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