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ー至福ー36
確かに今まで抑えられていた男っていうのはそういう事なんであろう。 いよいよ雄介も本領発揮っていう所だ。
「ぁあん! はぁあん! ……いやぁああん!」
そんな執拗以上に今日の雄介っていうのは攻めてくるもんだから、俺の方だって本当にもう今日は限界というばかりに背中を逸らしいつも以上に声を上げる。 息遣いだって本当に体内に酸素が入って来ているのか? と思う位に苦しい位だ。
「も、もう……ゆ、雄介っ! イくっ!」
そう荒い呼吸を繰り返しながら言う俺。 だって体内にホント酸素が取り込まれていない位になっているのだから当然呼吸が荒くなってしまうに決まっている。
腰も自然とくねくねとしてきているようにも思える。 そう人間っていうのは、こういう行為で気持ち良くなってくると、腰が勝手にくねくねと動き出してしまうもんなのだから。
……イきたい、欲しい。
俺の頭の中ではそれの繰り返しだ。
イきたい。 っていう言葉は当然なんだけど、欲しいっていう言葉は一体どういう意味なんだろうか。
俺の中で本当に雄介の事が好きになったっていう事なのか? だから雄介のが欲しいっていう事になったんだろうか。
雄介に告白された頃っていうのは、そんなに男には興味がなかった俺。 だって全然まだまだ『試しに付き合ってみるか?』っていう気分だったのだから。 だけど雄介と付き合って行くうちに段々と雄介からの俺への一途な想いというのが伝わって来て、俺も本当に雄介の事が好きになっていた。 そして最終的には俺から雄介に好きの最上級の言葉である「愛してる」を言っていたのだ。
でもホントそれは俺からしてみたら凄い変化だったんだと思う。 だって雄介と付き合う前の俺っていうのは本当に人の事を愛するっていう事を知らなかったのだから。 普通は子供の時に親から愛情っていうのを教えて貰うもんなんだと思うのだけど、俺の親っていうのは俺が小さい頃から外国に行っていたもんだから、親からの愛情っていうやつは知らないまま育って来た。 だから人に対してどう愛情っいうのをどう表したらいいのか? っていうのが分からなかったからなのかもしれない。 いや本当に今までただ単に愛する人がいなかっただけなのかもしれないのだけど。
しかし本当に好きになった人とのこういう行為っていうのは気持ちいいもんだ。
今まで雄介とこういう行為というのは気持ち良かったのは気持ち良かったのだけど、なんていうのか上手くなかったっていうのか気分じゃなかったっていうのか、まだまだ雄介に対して疑心暗鬼みたいな気持ちだったから、もしかしてこういう行為に、そう気持ち良くなれてなかったのかもしれない。 だけど雄介に本当の俺の気持ちを伝えてからは気持ち良くもなってきたし、今更ながらに性欲も出て来てしまったように思える。
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