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ー至福ー38
「ちょ、いきなり、どういう事なん?」
「ん? いやな……ちょっとさ……」
俺の方はイった後の呼吸の乱れが戻って来た事もあってか、雄介の方に視線を移すと、
「だからな、お前ってさぁ、今までの人生の中で女性っていう女性に触れ合った事が少なかったんじゃねぇのかな? って思ってな」
その俺の言葉にまだ雄介の中ではハテナマーク状態らしい。
「だからさぁ、お前って、人生の中で女性と付き合った事ってあったのか? あー、そういや、お前って高校の時って女子いたのか? お前の話で消防大学校の話は聞いた事あったんだけどさぁ、その前の話って聞いた事がなかったかも」
「……へ? そうやったっけ? あー、俺、高校の時は男子校やったしなぁ」
「はぁ!?」
その雄介の言葉に俺の方は裏声を上げてしまう。 まさか人生の中でそこまで女性と関わった事がなかったなんて思ってもみなかったからだ。
「ホント、お前の人生って女性とはあんまり関わりがなかったって事なのか?」
「あ、まぁー、そう言われてみればそうやったんやなぁ?」
そうあんまそこは気にしてないような風に答える雄介。
「だってよ、その後は消防学校に行ってたんじゃ、また、女性とはあんまり関わってなかったっていう事だろ? それで、消防士になったら益々いないっていう訳だ。 その後、医学部に行ってた時だって女性は少ない訳だしなぁ」
「あー、そこでは、確かに女性は男性と同じ位おったんやけどな。 だけど、もうその頃には望がおったし、なんていうのか学校では俺に近寄るなオーラ出しておったから、ホンマ、女性が俺ん所に来る気配っていうのもなかったし、学校じゃ俺は一匹狼やったからなぁ」
「……へ? って事は男性の友達も作ってなかったっていう事なのか?」
「まぁ、そういうこっちゃな。 こう俺的に男性同士でも馴れ合って学校終わった後に遊びに行くとかっていうのはしたくなかったしなぁ。 それに俺はホンマに医者になる気やったから、勉強しておったし」
「あ……」
その雄介の言葉で、雄介が医学部に行っていた時代を俺は思い出す。
そう言われてみれば、何年間か雄介とはすれ違いの生活送って来たのだけど、俺が家に帰ると必ず部屋には雄介がいた。 本当にあの時代っていうのは雄介っていうのは真面目に勉強していたという事だろう。
「成る程な、そういう事な」
なんか変にそこに納得してしまう俺。
そこまで来ると本当に雄介という人間は今まで女性と関わった事がなかったのであろう。 ただ一回を除いては……しかし、その時代っていうのはいつだったんだろうか。 今の雄介なら答えてくれるのかもしれない。
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