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ー至福ー40
一体、その昔雄介と付き合っていた女性と雄介の間に何があったのであろうか。 そこも気になる所なのだが、本当に今日の雄介っていうのは力が入りすぎていて痛い程だ。 掴まれている腕に痕も付きそうだし血が止まってしまって今にも痺れてきそうな感覚にまで来てしまっているのだから。
本当に雄介っていうのは力が強い。
「ゆ、雄介……痛いって……! 手が痺れてきそう……だから……っ!」
流石の俺もそう苦しそうに雄介に向かって訴えると急に我に返ったのか、慌てたように、
「あ、え? あー、スマンっ! 力入れすぎてもうたみたいで……」
今度は急に手を離して何度も俺に向かって謝ってくる雄介。
俺は今まで雄介に掴まれていた腕を摩るのだ。 人間って痛い所があると無意識のうちに痛い所を摩ってしまうもんだ。
「……って、俺が悪かった。 何でだよ、そんなに前の彼女の事を話したくねぇのか?」
そう俺の方は両肘をベッドの床に付けて気持ち的に半身を起こすと雄介の事を見上げる。
「へ? あ、ああ……まぁ、ちょっとな……」
そう言って雄介は俺から完全に視線を逸らして指先で頰を掻いてしまっている位なのだから、相当嫌な事っていうのか人には話せないような事があったという事なのであろう。 それを話してもらいたいっていうのは、今は俺、雄介の恋人なのだから聞きたい所なのだけど、雄介が話してくれないっていうんだったら、とりあえず話してくれるまで待つしかない。 でも、やっぱ恋人同士なら隠し事はちょっと嫌な所でもある。 寧ろ、まだ雄介からしてみたら俺って信用されてないって事になるのかもしれない。 そこもまだ寂しいところでもあるのだけど、とりあえず俺たちの関係っていうのはあくまで恋人同士な訳だから、隠し事っていうのはそんな強くは要求出来ないっていう所だ。 これがもし結婚したとしたら隠し事とかっていうのはダメだとは思うけど……。
……結婚したら、そこの所もちゃんと雄介から話してくれるのかな?
と自分だけで、その話については自己完結しておく事にする。
そこで俺はもう一度雄介の顔を真剣な瞳で見上げ、
「あのさ……雄介は、本当に俺と結婚したいと思っているのか?」
その話題については確かに昨日から話してはきているのだけど、でも俺達からしてみたら本当に大事な話なのだから何度でも話をしたくなる。
「……そりゃ、望とだったらしたいに決まっておるやんかぁ」
流石の雄介もその話となると真剣に話をしたくなるのか、俺の瞳を見つめてくる。
「だよな……」
少し俯き加減でそう答える俺。
俺も確かに雄介との結婚っていうのは賛成だ。 寧ろ雄介とはもう今後も一緒にいたいと思っているのだから確かにそこは問題はない。 だけど法律では確かに同性同士での結婚は大丈夫にはなったのだけど、まだまだ世間的に認知されていない事が引っかかっているだけだ。
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