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ー至福ー41

 またその考えが頭の中で巡り、さっきまでは雄介とシたい気分だった俺なんだけど、急に我に返ったかのようになる。  そして今まで気持ち的に半身を起こしていたのだけど、ベッドの上へと体を預けるのだ。 俺は雄介から視線を離して、 「なぁ、雄介……俺はお前と本当に結婚はしたいと思ってる。 だけど、やっぱこう何か色々と引っかかてるんだよなぁ」  そこで俺は言葉を止めて今度は雄介の事を見上げるのだ。  その俺の言葉に雄介は首を傾げていた。 「……へ? 何がなん?」 「何がって……それは昼間も話しただろ? やっぱ、まだまだ同性同士に関して世間一般的に認知されてないっていう事がさぁ。 もし世間一般的にもっともっと同性同士の結婚について分かってもらえるようになれば、俺の方も安心してお前と結婚出来るんだけどなぁ」  そして俺の方は力説するかのように、さっきは雄介が俺の腕を掴んでたのだけど今度は俺が雄介の腕をしっかりと掴んで言うのだ。 「あのな……」  そう雄介は言うと、雄介の方は本当にその事について真剣に考えてくれているのか、一瞬は俺から視線を逸らしていたのだけど俺の方に視線を向けて、 「俺、思うねんけど……法律でそう決まったっていうんやったら、世間一般的にもかなり浸透してきてるんと(ちゃう)うかな? その法案を決めてくれたのは、普段は頭が堅そうな政治家さんなんやで……そう考えたら、かなり世間一般的には同性同士って、かなり認められている事やと思うねんけど?」  その雄介の言葉に俺の方は目を丸くする。  確かに雄介の言う通りなのかもしれない。 雄介の言う通り普段は頭が堅そうな政治家さんが、その法案を成立させたのだから、大分今の時代っていうのは同性同士について認められて来たという事だろう。 「これで、同性同士の結婚については安心出来てきたか?」 「え? あ、まぁ……」  雄介に笑顔で言われて急に俺の方は顔が赤くなったのが分かった。 きっと今の雄介の言葉で変に安心出来たし雄介の事を意識してしまったからであろう。 「でも、だけど……! なんか、まだ引っかかってるんだよなぁ? まだ、俺の心の中ではモヤモヤってしてる感じがあるっていうのかな? まだ納得してないっていうのか……」 「ま、望がそないな感じだったら、俺の方はまだ望との結婚は待つつもりやからなぁ。 俺の方は望の事、いつまでも待つつもりでおるし」  そう雄介の方は笑顔で言って来てくれるのだけど、気持ち的には少し寂しそうな表情をしていたようにも思える。

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