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ー至福ー54

 雄介のお姉さんらしいストレートなその言葉に俺の方は吹き出すものは無いものの口だけで吹きそうになってしまっていた。 とりあえず雄介のお姉さんっていうのは、俺達の事を理解してくれている人でもある。 「……へ? え? えーと……」  完全に俺の言葉が上擦ってしまっている。 視線だって天井の方へと向けてしまったのだから。 そう完全に今の俺っていうのは雄介のお姉さんの言葉で動揺しているという事だ。 『ほらだって、今ニュースでも同性同士の結婚について話題になってるじゃない? だからよー……だから、吉良先生と雄介に関してはどうなのかな? って思ったんだけどね』 「あー……そ、そうですね……」  俺は美里さんの言葉を聞きながらチラリと雄介の方へと視線を向けてしまっていた。 もしかしたら俺自身が雄介に助けを求めていたからなのかもしれない。  だけど美里さんは俺に質問して来ているのだから、これは俺が答えなければならないって事だろう。 『吉良先生……無理しなくていいのよ。 雄介と結婚する気が無いんだったら、別に無理してまで結婚する必要は無いんだしね』 「え? あ……まぁ……」  確かに俺的には全然雄介とは結婚したいと思っているのだけど、だけど……まだ何かこう何か足りない気がして未だに踏みとどまってしまっている。 確かに和也達と散々話した婚姻届を役所に出しに行くのは置いておいてもだ。  それで思い出した事があった俺。 雄介には隠し事が沢山あるっていう事が、俺からしてみたらその何か足りない部分でもあるからなのかもしれない。  今、雄介のお姉さんである美里さんと話をしているのだから思い切って雄介の事を聞いてみた方がいいのであろうか。 いやもしかしたらこれが逆に雄介の事を聞くチャンスなのかもしれない。  そう思った俺は、雄介のスマホを持ったまま廊下へと向かうと気持ち的に小さな声で、 「あの……雄介の事で美里さんに聞きたい事がるんですけど……今、大丈夫ですか?」 『へ? ゆ、雄ちゃんの事で私に聞きたい事?! え? 何々? 雄ちゃんが吉良先生に言ってない事なんてあるのかしら? あ! 寧ろ、大丈夫よー。 もう、琉斗なんかは私から離れてとっくに遊びに行っちゃたから、私自身今は暇みたいなもんだから、たまには雄ちゃん達の様子が気になったから電話したみたいなもんなんだしね』 「あ、そうですか……ありがとうございます。 あ、いや……雄介がですね……その……俺達にまだまだ隠しているような事があるような気がして仕方無いんですよ。 それと、前に美里さんが入院した時に雄介に何か言いかけていた事ってありましたよね? それって、どういう事なんですか?」

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