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ー至福ー64
「あ……と……えーと……つまり、それをまとめると……本当に雄介っていうのは、女性と付き合っていても純粋な感じでしか、女性とは付き合ってなかったって事なのか?」
とりあえず俺は雄介が傷付かないように言葉を選んで言っていたのだから、言葉が切れ切れになっていたのかもしれない。
「え? あ、要はそういう事やんなぁ……」
「それで、その女性は雄介の事を振ったっていう事になるのか?」
何でか俺はそこだけ雄介の方も視線を向けてガッツリと言ってしまっていた。 だけど、それにはちゃんと意味がある。
「まぁ、そういう事になるんやろなぁ……」
そう切なそうに言っていた雄介だったのだけど、やっぱそこは雄介らしいのかもしれない。
でも逆に言えば、これで雄介の事が分かったような気がする。 だから雄介は今までその事について話をしてくれなかったんだという事も。 だって男として女性と付き合ってるのにデートだけでは流石に今の時代では振られてもおかしくは無いからだ。 寧ろ、キスさえもして無かった雄介の方が本当に純粋なんだと思う。
「ホント、お前らしいよな……」
俺はそう言いながら天井を見上げる。 そして、
「俺は、そんな純なお前が好きなんだからな」
そう言って、俺の方は雄介に向かって笑顔を見せるのだ。
それに気付いた雄介は、
「まぁ、望が俺の事好きだったら、もう過去の事なんか気にしないわぁ。 過去は過去やし今は今なんやしな。 こうして俺は望一緒にずっと居られるっていう事が幸せなんやし……」
「あ、まぁ……そういう事だな……」
せっかく俺が珍しく先行して雄介の事を好きって言っていた筈なのに、結局それを雄介にも言われてしまったような気がする。
確かに、その事について今まで隠されて来てしまった事だったけど、それを聞いてそんな事を簡単に言えるような感じでは無いのだから、言ってくれた雄介に感謝したい気持ちになってくる。 流石に俺だって、そんな過去があったんじゃ、なかなか話しにくいもんだしな。 寧ろ信用出来るような人じゃないと話せないような内容なんだしな。 俺にも似たような過去があったけど、やっぱ、そんな話って誰かに話せるような内容ではないっていうのか、恥ずかしくて言える内容ではないのかもしれない。
「あー……もう、いいかなぁ? 俺の方は、雄介が話ししてくれたおかげでスッキリしたしさ……多分、これ以上はお前に関して気になるような事は無いような気がするしさ」
俺はこう晴れ晴れしたような気持ちでベッドの上へと大の字になる。
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