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ー至福ー66

「あ、え? あー……」  と少し天井の方に視線を向けて、気持ち的には俺から誘って来た事に動揺したんだと思うのだけど、急に俺の方へと向き直して来ると、 「ほな……な」  そう笑顔で確認して来てくれる。  そんな雄介に俺の方も微笑むのだ。  今日は自然と俺の方から雄介の事を誘ったのだから、雄介がそう言ってくれる方が嬉しい。  そして雄介は一番最初に俺の唇へと唇を重ねて来る。  何だか今日の俺っていうのは、いつも以上に心臓がドキドキとしているのは気のせいであろうか。 自分から雄介の事を誘ったから? それとも本当に今の俺っていうのは雄介に惚れ直したから? そこは分からないのだけど、本当に今日の俺は心の中まで晴れ晴れとした気持ちだったからなのかもしれない。 そうだ。 今までの俺っていうのは雄介に対して気持ち的に半信半疑状態だったからなのかもしれない。  俺は雄介に会った頃というのは本当に雄介の事は好きじゃなかった。 寧ろ嫌いだった方だ。 だけど雄介は消防士で人の命を救う仕事をしていて、その事に関しては熱くて、それを知った俺はそこから雄介に興味を持ち始めたっていうのであろうか。 その後、急に雄介に告白はされたのだけど、その時の俺というのは、まだまだ男同士に関しては『男同士でも恋人になれるの?』という普通の人と同じ考えを持った男だったから、和也に相談してみた所、和也は『好きになったら男も女も関係ないんじゃねぇのか?』と言われて、最初は『付き合ってみるか?』みたいな感覚だったのだけど、気付いたら、俺達の関係というのは何十年と続いているような気がする。 時には喧嘩して別れそうになったりしていたけど、だけど俺的にも本当に好きなのは雄介であって、もうこれ以上雄介以外の人を好きにはならないような気がする。 きっと雄介もそう思っているから俺とは別れないでここまで来てくれたのであろう。 寧ろ、俺とはずっと一緒に居てくれるつもりで医者にもなってくれたのかもしれない。 いや俺と一緒にいたいから、雄介は俺に付いて来てくれていたのであろう。  そしてさっき雄介が今まで俺に隠して来た事を全部話してくれて、これで雄介と結婚する決意までは出来たような気がする。  そう俺が今までの事を思い出しているうちに俺が着ていた服というのは、はだけさせられていたようだ。 急に前がスースーとしていたのだから。  雄介の舌が唇から首を辿ってお腹等辺を舐めていく。  舐められるだけで俺の体というのは、ピクンっ! と反応してしまう位に今はもうこういう行為は慣れているようだ。

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