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ー至福ー83
「あー……あー! スマンって!」
そう言って今度は雄介の方が俺の肩を掴んで来る。
だけど俺の方はまだその話について終わってはないのだから、雄介がそう謝ったって腕を組んだままでいるのだ。
「あー……ちょ、どないしたら、機嫌直してくれるん?」
そう困ったような声で言う雄介。
だけど俺の方はまだまだ許す気は無い。
確かに雄介っていう男は、自分が悪かった時には先に謝ってから言い訳をする事が多い。 いや寧ろ謝って謝って最終的に言い訳をしてくれる奴だ。
「俺の機嫌とかっていう問題じゃねぇんじゃねぇのか?」
「え? あ、そやなぁ……? ほな、どうしたらええ?」
「……ってかさぁ」
俺はそこまで言うと、雄介の方へと視線を向け、
「普通に俺もこういう事に関して参加させろって言ってるだけなんだけどな」
「え? あ、まぁ、そうなんやけどなぁ?」
そう俺は迫るように言うと、雄介の方は俺から再び視線を外して後頭部を掻いていた。 きっとそれが雄介の癖みたいなもんなんだろう。
「だから、何でそれに参加させてくれねぇんだって聞いてんだけど……。 さっき話したばっかだろ? もう、俺達の間では隠し事は無しってな」
「え? だけど……これとそれとでは違う気がすんねんけど、なぁ?」
そう自信無さそうに最後は疑問系で聞いて来る雄介。
「違くねぇからっ! 俺だって、雄介の事が本気で好きだから、お前にもっと触れたいんだからなっ!」
今日の俺は本当に折れる事はなく言いたい事は雄介に言っているような気がする。 だってそうだろ? 今日はもうちゃんと雄介とは話し合いをして結婚すると決めたんだから、何もかも隠して欲しく無いからなのかもしれない。 寧ろ、今日の俺はちゃんと雄介に自分の事を言っているような気がする。 寧ろいつも以上に向き合っているという事だろう。 ただ雄介がそれに賛同してくれてないというだけなのかもしれない。
雄介とやりたい事、好きだっていう事。 普段は言わないような事を言っているのだから雄介にはそれに応えて欲しいと思っているだけだ。
さっきそこまで強く俺が言ったからなのか、雄介は一瞬言葉を失くしていたのだけど、きっとその間に色々と考えてくれていたのであろう。
急に俺の事を抱き締めると、
「そやな……これからも、ずっと望とおりたいと思うんやったら、お前の事や言葉を信じてやらなぁアカンし、やりたい事もやらせて上げたらええねんなぁ。 そしたら、望……俺のに触れてくれるか?」
そう急に顔を上げて笑顔で言ってくれる雄介。
一時的に俺達は喧嘩しそうになったのだけど、雄介のその一言で回避出来たような気がする。 雄介もまた俺の事を信じてきてくれているからなのかもしれない。
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