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ー至福ー97

 雄介のその答えに、和也は、 「まぁ、そういう事なのかもな……」  と、もう平静になって答えてくれる。  それからは四人で、いつものように「いただきます」をし、ご飯を食べ始めるのだ。 「……で、雄介と望の方は、今日ちゃんと結婚についてだかを真面目に話したのか?」  思った通り、和也の場合にはそう聞いて来ると思っていた事だ。 そこに雄介は、 「まぁな……とりあえず、俺達の方はしっかりと話し合って来たけどな」  そう雄介の方はご飯を口に運びながら言うのだ。 「何だか、それだと適当に話をして来たっていう感じなんだけどな。 話は適当に終わらせて、今日は二人だけなんだからシてきたとか?」  和也のその言葉に食べ物を吹き出しそうになる雄介。 「はっ!? どうして、そないな発想になんねんなぁー」  何だか雄介は呆れたように言っているようにも思える。 「だってさ、戻って来るのわりと遅かったじゃんかぁ」 「ま、そりゃ、そうやけどー、そうとは限らんやろ? ホンマに真面目に望とは話して来たんやからなぁ」 「んじゃあ、どんな事を話して来たんだよー」  和也からその質問に、雄介はこうそっぽを向きながら考えているように思えたから、俺の方は和也の方に乗り出すように、 「雄介には今まで俺に隠していた事を全部話してもらったからなんだよ!」  そう力強く言ってた俺。 そう言うと今度ご飯を吹き出しそうになっていたのは和也だ。  どうにかこうにかご飯を吹き出さずに飲み込んだ和也は、 「そうだったんだな。 これで、二人は結婚する。 って事に決めたって訳だ」 「確かに、俺達は結婚するとは決めたけど……まだまだ、役所に婚姻届を直ぐに出せるっていう訳じゃねぇんだよなぁ。 とりあえず婚約位って事かな?」  俺は落ち着きを取り戻すと、自分の席へと腰を落とす。 「ま、そっか……とりあえずはな……。 でも、本当に婚約っていうのは決めたのかー。 んじゃ、俺達も!」  そう言って、和也は裕実の方へと視線を向けると、 「じゃ、俺達も! って事で、裕実……俺達も婚約しよっ!」  そう和也の方は大真面目に裕実に向けて言ったのだが、裕実に手で顔面を押さえられ、 「婚約っていうのは、そんな簡単にするもんじゃないですよー! せめて、望さん達のように一回真剣に話し合ってからにして下さいね」  といきなり和也の方は裕実にダメ出しを喰らっていた。  そこに何だか笑えてくる。  でも、確かに裕実の言う通りなのかもしれない。  結婚っていうのは確かにそんなに簡単な事ではないような気がするからだ。  現に俺達だって本当に真剣に悩んで、真面目に話し合って来たのだから。  だからそう簡単に言って来た和也にムカついたっていう訳ではないのだけど、そう感じてしまったということだろう。

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