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ー至福ー108
とりあえず俺はその和也の反応は置いておいて、
「とりあえず、雄介の様子がおかしいんだって!」
その俺の真剣な訴えだって、天井や首を捻って考えている所からすると、何だか俺だけが雄介の事に関して真剣になってるような気がして来るのだ。
確かに、雄介が何かおかしいと思っているのは俺だって、ただの勘でしかないのだから、もう他に和也達に訴える術がない。
俺的にはこう何かモヤモヤとか何かが違うって思っているのに、他の二人には通じてない事にもどかしい気持ちになってきている。
「ぁあ! もう、いい!」
俺は既にそんな和也達に八つ当たりではないのだけど、そんな風の言うと、再び二階の自分達の部屋へと向かうのだ。
そう和也がご飯を作り終わっているのに雄介が起きて来ないからだ。
いやきっと和也達に俺の話が通じてなかったから、一旦頭を冷やす為にとやはり雄介の事を起こす為に部屋へと戻って来た。
部屋に入ると、涼しい風が俺の体を包む。 夏だというのにこの島では夜になるとかなり涼しく過ごせるからなのか心地いい気温になるのだから、夜は窓を開けてれば心地いい気温のまま寝る事が出来る。 朝方だって気温が上がって来るまではまだまだ涼しい位なのだからエアコンが要らない位だ。
そんな心地いい気温に窓から入り込んでくる優しい風に雄介の前髪が揺らされる。
雄介の髪質っていうのは、男の割にはサラサラとしているのかもしれない。
俺はベッドの上に上がって、雄介の髪の毛を指で梳いてみる。
やはり俺が思った通りに、雄介の髪質というのはサラサラだ。
こんな事だって昔の俺だったら出来なかっただろう。 そんな俺に変えてくれたのは本当に雄介だ。
雄介からしてみたら、何も俺にはしてない。 って言うのだけど、その雄介の優しい性格と俺に対する一途な思いが俺の事を変えてくれたのであろう。
雄介の髪を梳いていたのだけど、俺はある事を思い出し、
「雄介……そろそろ朝ご飯の時間だぞ」
そう言って俺は雄介の事を起こすのだ。
「ん、んん……」
まだ眠いのか、俺の声に反応はしているものの起きて来ない雄介。
しかし俺から雄介の事を起こす事だって違和感がある。
確かにこの前、事故が起きて雄介が戻って来た翌日の朝も雄介の事を起こしたのだけど、それはずっと海の中に潜っていたのだから疲れていたんだろう。 と思っていたのだから気にならない所だ。 だけどそこから雄介というのは、自分が当番じゃない時にはゆっくりと寝ていたような気がする。 しかしそんなもんなんだろうか。
とりあえず今は雄介の事を起こさないといけないと思った俺は雄介の体を揺らし起こすのだ。
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