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ー至福ー112
俺達の方は、子供の事についてはあんまり真剣に話し合いはしてなかったのかもしれない。
今回、雄介と話をしていた時に、俺からしてみたら重要な話というのは、やはり雄介が俺に隠し事が多いから、それを色々と突っ込みたかっただけだ。 それに結婚するのだから、本当に俺からしてみたら隠し事は無しみたいのにしたかったからだ。
「じゃあさ、今日はとりあえず子供の事について真剣に話してみないか?」
俺が真剣にそう言ってしまった事で、三人の視線がまた一気に集まったような気がした。
「……って、なんなんだよー。 俺、また変な発言してるのか?」
「ん、まぁ……そんな所なのかな? 望の口からホント意外な言葉が出てるしさ」
そう言ってくるのは和也だ。 ま、雄介は確かに一瞬、俺の方へと視線を向けたけど、わりと直ぐにいつもの表情に戻っていたのだから。
「その、意外な言葉ってなんなんだよー」
そう軽く頬を膨らませるように言う俺。 寧ろ、不貞腐れているのかもしれない。
「子供について真剣に話しするって事?」
そう何でか和也は言いにくそうに言ってきていた。
「ほー、それが、和也からしてみたら、俺の意外な所だったのか?」
「え? まぁ………」
「……ったく。 俺だってな、こう真剣に色々と話す事だってあるの!」
「そろそろ分かれよ」と付け足し、俺の方が半分拗ねたようにしていると、雄介が、
「ま、そやなぁ……ホンマ、子供の事についてはホンマに真剣に話し合わないと可哀想な気がするしなぁ」
その雄介の言葉に俺の方は雄介へと視線を向ける。
それに気付いた雄介は、
「ん? だって、ホンマの事やろ? だって、自分達の子供じゃないとか、または代理出産みたいにするんやったら、その女性に負担を掛けてまう事になるんやから、やっぱり、子供っていうにはいい加減な気持ちでは養子でも代理出産でもしない方がええって事やしな」
その雄介の言葉に、急に子供を育てるっていう事に重みを感じる。
確かに、子供を育てるっていう事は本当に簡単な事ではないという事だ。
赤ちゃんだったら、誰かが必ず付いていないといけない訳だし、小学生になれば確かに多少見てなくても大丈夫なようだけど、それだと養子として貰う事になるのだから、もっと大切に大事に愛情をもって育てないといけない訳だし、そう言われてみれば、子供を預かって育てるっていうのは、かなり大事な事なのかもしれない。
それに何かあった時には責任を負わなきゃいけないのが親だ。
その他諸々、子供については本当に真剣に話し合わないといけないだろう。
特に俺の方だ。
雄介の場合、甥っ子もいたし、そのおかげで小児科医になった訳で、そこまで子供好きなのだけど、俺の場合には全くもってそういう経験っていうのがない。 確かに一回雄介の甥っ子を預かった事があったけど、預かったっていうだけで、全くもって自分の子ではないのだから、完全な親の気持ちにはなってなかったと思う。
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