本当に和也は人間分析というのが出来るのであろう。　あまり美里とは関わってないのにも関わらず、そんな事を言っているのだから。 「今の雄介のお姉さんの話を聞いて、逆に冷静になれたって言うのかな？　確かに世の中的には同性同士でも結婚は出来るようになった。　それでも、同性同士で結婚するには、沢山の壁もあるし、沢山の試練もある。　それを超える事が出来た先には、幸せが満ち溢れた世界が待ってるんじゃねぇのかな？　それが、結婚なんじゃねぇ？　だって、結婚って幸せになる事だって、昔から言われている事だろ？」 　そう笑顔で真剣な顔をして言う和也。　またまた和也の意見に納得する俺。 　本当に和也という人間は自分のしっかりとした意見や芯というのがある。　それを割とハッキリと言う奴だ。 　だが昔は本当に俺と和也というのはぶつかって来たもんだ。　だけどそれは親友だからこそ言いたい事を言える仲という事でもあるのであろう。　時には言い合いをし、離れた事だってあった。　だけどまたくっついて離れて、それの繰り返しをしていても結局くっついて側にずっといるのだから、無意識にお互いに離れたくないと思っているのであろう。　本当に嫌いな奴なら、とっくに友達の縁だって切っているのだから。 「まぁな……」 「じゃあ、今、お前と雄介っていうのは、しっかりと話し合いをした方がいいって事だな。　雄介のお姉さんの言う通り、しっかり話し合いをしてしっかりと決める事は決めて、それで結婚した方がいいって事なんだろうよ」 「まぁ、確かになぁ……でも、これ以上、俺達が話し合う事ってあるのか？　だって、結婚して、それで、美里さんに代理出産を頼んで、子供に関してはもう美里さんに任せるしか無いんだし」 「だから、それだけじゃ、雄介のお姉さんは甘いって言ってんだろ？　もし、代理出産を簡単に快諾して、それで、雄介と望の子供を死産させてしまったらとか、もし雄介のお姉さんもそこで命を落としてしまったら？　どう望達は責任を取るんだ？　出産って、本当に望達が考えている程、簡単な事ではないんだぞ。　それに勉強して来なかったのか？　高齢になるほど、色々とリスクっていうのが伴うんだからな。　赤ちゃんにだって、かなりのリスクっていうのがあるらし。　死のリスクもそうだけど、病気になりやすかったり、障害を持って生まれて来たりとする訳だ。　もし、そうなった場合、どうするんだ？　って事を雄介のお姉さんは聞いて来てんじゃねぇのかな？」 　その和也の真面目な話に再び納得する俺。　そう言われてみれば確かにそうだ。 　俺達の方も沢山雄介と話をして来たつもりだったのだが、やはりそれだけでは足りなかったという事だろう。