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ー至福ー131
「でも、一、二年経ってこの島に帰って来る頃には、望と雄介の他にも赤ちゃんも一緒に帰って来る事になるんだな。 それはそれでいいかもー」
そう言う和也は何だか嬉しそうに思える。
そんな話をしていた俺達。 スッカリと雄介の事を忘れていた頃だっただろうか、雄介を先頭に裕実も帰宅して来たようだ。 そして俺達が居るリビングへと入って来た雄介の顔はスッキリとしたようにも思える。
「な、もう一回、望と話したいんやけど……寧ろ、和也達にも聞いて欲しいっていうんかな?」
そこで雄介はソファへと座ると、俺も和也も裕実もソファへと座るのだった。
「ホンマ、裕実を俺の方に寄越してくれて、ありがとうな」
「へ? そこは、裕実が勝手に雄介の事を追いかけてって、探してくれたんだと思うんだけどなぁ?」
その雄介の話に食い付いたのは和也だ。 そして俺の方へと振って来る。
「ああ、そこは、裕実が雄介の事を追いかけて話してくれたんだと思うぞ」
「あ、そうやったん。 まぁ、そこは、ええとして……そこでな、裕実とも話しておったんやけど、まぁ、俺の姉貴が言ってる意味も分かる……。 出産がどれだけ大変な事なんだっていう事も……それで、姉貴の方はもっとちゃんと真剣に考えてくれって言っておったんやけど、今俺が一人になって冷静になれて考えていた事なんやけどな。 俺達が姉貴の事を全部サポートするっていうのはどうや?」
その雄介の言葉に、半分は分かったような、半分分かってないような感じだ。
それに俺達の方だって、寧ろ赤ちゃんが産まれて来るまで、春坂にいるつもりだったのだから、ある意味、美里の事をサポートするつもりだったのだから。 だけど何か美里にあった時にサポートするとまでは考えてなかったようにも思えるからだ。
俺達というのは、俺は外科医で雄介は小児科。 そして研修医時代の時は誰も色々な科を経験して来るのだから、本来だったら全部の科も出来るという事だ。
「……って、事はさ……春坂に戻ったら、美里さんの事を全部サポートするっていう事でいいのか? 例えば、俺が春坂病院で働いて、雄介が美里さんの側に居て家事を手伝ったり、琉斗君の世話したりしてさぁ」
「ああ、そやなぁ? 琉斗の方はもう中学生やし、そないに大変な事っていうのは、無さそうやけど、まぁ、中学生って言っても、思春期やし、大変な所あると思うしな。 俺が姉貴のサポートに回ってもええねんけど、四六時中姉貴の側に居るっていうのもなぁ? 両方共疲れてまいそうやし、そこは、どうしたらええねんやろか? ってな」
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