412 / 855
ー至福ー132
「ま、そこはあるのか……」
そこは俺の方はそう答えるのだ。 まだ、俺には何か方法があるっていう訳では無かったからなのかもしれない。
そんな中でも和也も裕実も何か考えてくれているようで、天井の方へと視線を向けて和也なんかは唸ってくれてるようにも見えるし、裕実なんかも自然と視線を天井の方へと向けてくれているのだから、こう何か考えてくれているっていう事だろう。
本当に俺はこのメンバーと友達いや親友になれて良かったと思える。 だってこんなにも俺達の為に考えてくれているのだから。
「あ! そうだ! こんなのはどうだ?」
そう言うのは和也だ。 ホント、和也にはいつも世話になりっぱなしなのかもしれない。
「あ、あのさ……雄介のお姉さんが住んでる所って、マンションかアパートだろ?」
「ああ、まぁ……アパートだけどな」
「それなら、隣とか近くに住むっていうのはどうだ? そしたら、何かあった時に雄介が直ぐに駆けつける事が出来るだろ?」
「ぁあ! そっかっ! 確かにそうやんなぁ! それやったら、姉貴にも迷惑掛けへんし……俺等のプライバシーも守れて姉貴達もプライバシーというのが守れるっていう訳やんなぁ」
「そういう事! これで、雄介のお姉さんも納得してくれるんじゃねぇのかな?」
「そやなぁ……それやったら、俺達の方も安心やし、全くもって俺的には問題無いっていう所かな? なぁ、望もそう思わへん?」
そう笑顔で言ってくる雄介の顔は満足そうだ。 きっと今の和也の意見で納得出来たのであろう。 それだったら、俺だって満足なのだから全くもって文句を言う所ではない。
「いいんじゃねぇのか? それに、雄介が満足してるんだったら、いいと思うけどな。 後は雄介のお姉さんが、どう反応してくれるか? だよな……」
「まぁ、そういこっちゃな……。 もしかしたら、姉貴が言いたかったのは、こういう事なのかもしれへんで……特に姉貴の場合には旦那さんとかっていうのはおらんしな」
「あー!」
そこで大声を上げる和也。
「そうだ! な、なぁー、雄介のお姉さんって、シングルマザーなんだろ? って事は、予想だにしてない妊娠になる訳じゃんか……って、事はさ、妊娠している間っていうのは、仕事なんか出来ない訳だろ? その間の収入とかについてはどうするんだ? やっぱ、収入が無いんだったら、生活なんか出来やしないんだからさ」
確かに和也の言う通りなのかもしれない。
本当に雄介のお姉さんの言う通りだ。 俺達というのは全くそういう事まで考えてなかったのだから。 そこはやはり反省すべき点なのであろう。
ともだちにシェアしよう!