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ー至福ー134

 そこでこの事について意見というのか言う事が無くなってしまった俺達というのは軽く息を吐く。  ここで代理出産につて行き詰まってしまったからだ。  まさかここまで代理出産について深い話になるとは思ってなかったからなのかもしれない。 「やっぱ、辞めようか?」  そう俺の方は本当に雄介との子を諦めて、立ち上がる。 「ちょ、ちょー、待ったぁ!」  そう言って雄介は本気で俺に向かって静止を求めて来ているのか、俺の腕を掴むのだ。 「へ? あ、何!?」  俺の方は雄介に突然そこを掴まれてしまい、雄介の方は全く力を入れていないのであろうが、それでも俺の方はバランスを崩してしまい再びソファへと腰を下ろす状態になる。 「へ? 何!? だってさー、もう、俺達には代理出産については手段が無い訳だろ? なら、その事については諦めた方がいいんじゃねぇのか?」  俺の方は本当にもう完全に代理出産については諦めてしまっていたのだから雄介にそう強く言ったのだが、どうやらこの事については雄介の方が諦めてなかったようだ。 「確かに、俺達の子供を選ぶ手段は養子っていうのもある。 だけど、俺の方はどうしても俺と望の子が欲しいねんって! そりゃ、養子の子供だって俺等の子供なんやから可愛いのかもしれへんけど、ほら、自分の血が繋がっている子供の方がより親近感っていうのは沸くやろうし、愛情っていうのもやっぱ百パーセントっていうのはおかしいねんけど、養子と比べたら、気持ち的には違うやんかぁ……せやから、俺は絶対に姉貴に頼んで代理出産がええと思ってんねんけど……」  そう俺の瞳を真剣に見つめて言ってる雄介っていうのは本気だ。 完全に俺の瞳を捉えているのだから。 「でもさ、雄介のお姉さんには、もう頼めそうにも無いじゃんか……」 「いや、俺の方は諦めへんぞっ! 今回の事についてはホンマに姉貴に頼むしかないんやからなぁ。 ほなら、俺の方はもう一回、姉貴に電話して言ってみるわぁ……いや、何回でも電話して姉貴にオッケー貰えるまで説得してみるわぁ。 いつもいつも俺は姉貴に色々と責められぱっなしやったけど、今回のだけは逃げたくないねん! ホンマに姉貴の事、説得させてみせるっ!」  本当に雄介はこの事については本気なのであろう。 こう拳を握り気合いまで入れていた位なのだから。 「もっ回、姉貴に電話してみてええか? さっきは姉貴とコソコソと話しておったけど、今度はもう望達の前で話してええか? それ位、俺の方は姉貴を説得させるつもりおるし、勿論、しっかりと望達にもその会話を聞いてもらいたいしな。 ほんで、俺がこの代理出産についての問題が本気やっていう事を聞いてもらいたいんやけどなぁ」  そこまで真剣に言われると、本当に雄介が真剣にこの問題に取り組んでいるのが分かる。   そんな雄介に俺の方は、頷くのだ。

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