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ー至福ー136
『ホント、もっと代理出産についてを真剣に考えて欲しいのよ。 雄ちゃんが吉良先生との間に子供が欲しいっていうのも全然私からしてみたら分かるのよ。 だけど、ホント、出産にはリスクっていうのがあって、私の知り合いで、出産する時に、お母さんの方が耐えられなくて、赤ちゃんだけ無事に生まれて来たっていうのもあるし、その逆で、お母さんの方は助かったけど、赤ちゃんは助からなかったって事もあるし、お腹に赤ちゃんが出来たとしても流産してしまうかもしれないって事だってあるのよ。 もし、そうなってしまった時、雄ちゃんも吉良先生も耐える事が出来るの? 特に雄ちゃんなんか優しい性格だから、自分の子供が生まれて来なかった場合の事をちゃんと考えているのかしら? それと、さっきも言ったけど、お腹に赤ちゃんがいたりすると動いたりするのが大変な時だって来るしね。 それと私達の方もお腹に赤ちゃんがいたって、自分達の生活をしていかなきゃならないのだから、そういった面でも私の方は直ぐに許可する訳にはいかないのよね』
雄介が読んだ通りの美里の言葉に息を飲む俺。 流石は兄弟っていう所だろう。 だがそこについては俺も雄介も真剣に話し合って来た所だ。
今度はそれを美里に言う番だ。
「ああ、大丈夫……姉貴が言いたい事については殆ど今まで望達と話し合っていた所やったからな。 もし、代理出産について姉貴がいいって言ってくれたなら、俺達の方は春坂の方に一旦戻るし、姉貴のアパートの近くに住む。 ほんで、その間、俺の方は姉貴に呼ばれるような事があったら、買物も家事も手伝いに行くしな。 後は本当に姉貴や赤ちゃんがピンチになった時には直ぐに俺が駆け付けられるようにするし、そういう風にもう話して来たんやけど、それなら、大丈夫かなぁ? って思うとるんやけど。 そんな感じで大丈夫なんか? 要は姉貴のサポートは完全に俺達がするっていう事やねんけどな」
そこまで雄介が言うと、一瞬間があったような気がする。 そう全くもって受話器の向こうから美里の声が聞こえなくなってしまったのだから。
きっと雄介のその真剣な声と真剣に話し合ってまとめて来たであろう言葉に、美里の方も考えてくれているという事なのであろう。
それから何分経ったか何十秒経ったのかは分からないのだが、やっと美里の口が開くのだ。
『雄ちゃん達が、ちゃんとそこまで考えているんだったら、代理出産の事について考えてもいいわぁ。 だけど、まだ、あくまで考えさせてね。 っていう事だけ忘れないでね。 それに、仕事を休んでいる間、どう生活していくのか? っていうのも考えないといけないしね。 それと……』
そこまで美里は言うと、一旦間を空けて、
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