俺はそこで一旦言葉を止めて、雄介の様子を伺う事にする。 　この事については雄介の方も真剣なのか、顔を気持ち的に俯け顎の下に両手を付け真剣に俺の話を聞いてくれているようだ。 　そうさっきまで雄介は立ってまで、こうキレていたような感じだったのに、俺が話をするようになってからは席に座ってくれているのだから。 　しかし雄介の方は未だに黙ったままだ。 　寧ろ、微動だにしないように思える。　流石に瞼だけは瞬きをしなければならない分、動いているのだけど。 　きっと雄介の方もこの事について真剣に考えてくれているのであろう。 「ホント、望の言う通りだな。　フッと思ったんだけど、俺達っていうのは、代理出産っていうのは難しい事なのかもしれないけど、養子は貰える訳じゃんか……ならさ、養子の子達を沢山育ててみるっていうのはどうなんだろ？　ほら、そういう施設で育っている子供達っていうのは、事故とかで親がいなかったり、虐待を受けてた子達だったりするんだろ？　先ずは生きている子供達の助けになるっていうのもいいんじゃねぇのかな？　その子供達っていうのはさ、ただただ毎日のように施設で育って行くっていう感じなんだし、親からの愛情とかっていうのも知らない訳だろ？　なら、俺達引き取って愛情いっぱいに育てて上げた方がいいんじゃねぇのかな？　な、裕実」 　そこで和也が何故、裕実その話題を振ったのか？　っていうのは一瞬分からなかった俺なのだけど、長年恋人として居る裕実には今一瞬で和也が裕実に言いたい事が分かったようだ。 「そうですね。　僕の方はそういう施設で育って来た人間なので、本当にそこで育てられている子供達の事が分かりますよ。　ただただ施設で育てられているだけなので、愛情は無い状態ですね。　学校には行かせて貰えるのですが、ある意味、自由なのは学校でだけなのかもしれません。　施設の中では規則正しい生活も送らされますし、テレビゲームも娯楽も何も無い世界でしたからね」 「あ！　だから、裕実の場合のは、カラオケとかボーリングとかっていうを知らなかったのかー！　ま、それと、両親のせいでもあるんだけどな」 「ま、そういう事ですよ」 　そう和也の言葉に笑顔で答えている所からすると、裕実の方はもう施設で育っていた事は気にして無いという所だろう。 「なので、僕達の方は確かにお子様はいらないとしていますが、もし、欲しいと思ったら、養子で貰うかもしれませんね」 「ん？　だな」 　一瞬、和也は裕実の言葉にハテナマークというのか、それ聞いてないぞ。　みたいな表情していたのだけど、それを和也は一瞬で頭の中で処理したのか、笑顔で納得していたのだ。 　しかし相変わらず黙ったままでいる雄介。