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ー至福ー141

「とりあえず、望も養子を望んでるっていうんやったら、俺も全然養子でええと思うよ……ただなぁ……あ、いや、まぁ、そこは、もうええねんって……!」  そう言う雄介なのだが、まだ全然、俺と雄介の子供を諦めてないようにも思える。 そう言葉だって詰まらせていたのだから。 「でもさ、お前は、やっぱりその……一番は俺との子供がいいんだろ?」  そう俺の方は静かに伺うように問うてみる。 「え? あ、いや……もう、姉貴の言葉で十分に子供を産む事については分かったし……もう、そこはええかな? ってな。 それに、和也達の言う通り、施設で育ってる子達の方も気になるしな。 前に言ったやろ? 施設で育ってる子供達っていうのは、イキイキしてなかったっていうんかな? やっぱ、親から虐待を受けたり、親を亡くしてしまっている子供達だから、本当に元気が無いだってな。 健康診断とかしても、施設ではちゃんとしたご飯を食べているからなのか、体的には全くもって問題は無かったんだけどな。 だけど、心に受けたダメージっていうのは、本当にいつまでも残ってるって訳だから、なんかなぁ、ホンマ、寂しそうっていうのか、元気がないっていうんか……ま、そんなんやから、俺的には養子でもええって思ってるんやけどなぁ」  雄介は本当に養子の方にシフトしたのか、さっきよりかは話してくれるようにはなったのだが、まだ目の奥の方は全くもって俺と雄介の子供については諦めてないようにも思える。 「今、裕実が言うとってたけど、施設で育ってると自由が効かへんのやろ? それやったら、俺達が引き取って、養子にして世間の楽しい事を色々と教えていったらええと思うねんで……ほんで、喜怒哀楽をも教えていったらええんと違うかな? それも、教育っていうもんやろ? 学校では教えてくれないような事を親が教えて行くっていうのもあんねんからなぁ」  この中でまともに親の元で育っているのは雄介だけなのかもしれない。  俺は家族が海外に行ってしまった為、俺だけが日本に残り祖母達に育てられている。 和也に関してはシングルマザーなのだから片親しかいない状態で、裕実の場合には父親から虐待され施設で育っているのだから、本当に両親がいて親元で育って来ているのは寧ろ雄介しかいないのだから。 「あ! そっか……ある意味、雄介だけだもんなぁ、親元で育って来たのはさ。 俺も和也も裕実も親元では育って来てねぇから、子育てに関しては雄介が一番に分かるんじゃねぇのか?」  もしかしたら今の言い方だと嫌味っぽいのかもしれないのだが、全くもって俺の方はそんな意味で言った訳ではない。 それに言い方も全くもって嫌味っぽく言った訳ではないのだから。

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