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ー至福ー142
言い方次第では相手に伝わる感じというのは違う。 だからなのか雄介の方は、特にそこを気にする事なく、
「そやなぁ? 確かに、望と和也と裕実に比べたら、俺だけは親元で暮らしておったんやなぁ。 ってな。 そっか、それやったら、子育てに関しては俺が一番知ってるっていう事になるんか」
「ああ、そういう事になるんだな」
雄介のその答え方に俺の方はホッとする。 しかも少しばかり元気になったような気がするからだ。 やはり代理出産を選ぶのじゃなくて、養子の方が何だか早く決められそうで良かったのかもしれない。
「でもさ、養子を選ぶにしたって俺等はもう一度春坂の方に行かないとならないんじゃねぇのか? やっぱ、申請とか手続きとかしないとならねぇだろうしさ」
「そっか……やっぱ、その前に婚姻届を出さないとなんやから、また、ある意味振り出しに戻る事になるんか? とりあえず、子供ん事はまとまったとしても、先ずは婚姻届を出さないと養子にしても代理出産にしても、意味ないのかもしれへんなぁー」
「なら!」
そう急に大声を上げる和也。 きっと、それだけ大声を上げたという事は何か思い付いてくれたのであろう。
「先ずはお前達の場合、結婚はしないと子供は無理な話なんだろ? ならさ、やっぱり、そこまで望達の場合には話が進んでるんだから、一度、春坂の方に行って来いよ。 それで、婚姻届を役所に出して……そうそう、島だったら、直ぐに望達が結婚したのがバレてしまうだろうけど、春坂だったら、全く周りの人間っていうのは誰が結婚しようが気にしねぇんだから、先ずはそれをお前達はやる。 それで、養子にするか? 代理出産にするか? はその時に決めればいいんじゃねぇのか? 電話じゃ美里さんには伝わらなかった部分も面と向かって話をしたら伝わるもんがあるんじゃねぇのかな? それでも、美里さんはダメだって言われれば、養子にすればいいんじゃねぇのか? だって、今さっきの美里さんの様子だと、まだ考えておく。 っていう事だったろ?」
「あ……」
確かに、それが一番俺達からしてみたら近道という事だろう。 俺達というのは、雄介と出会って軽く十年以上の月日が流れている。 だから本当に俺達というのはいい年だ。 島でうだうだと考えている暇があるんだったら、『結婚はしたい』と思っている俺達には、それが本当に手っ取り早い方法だという事だろう。 俺の方はとりあえず和也の意見に賛成だ。 雄介の方はどんな考えを持っているのであろうか。
その和也の意見に雄介の方は考えてくれているのか、手を顎に当て俯いた状態でいる。
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