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ー至福ー145
「望がそうしてくれるんだったら、別に俺の方は文句ねぇしな」
そこまで言った和也だったのだが、急に裕実の方へと視線を向け、
「裕実の方はどう思うんだ?」
と聞くのだ。
「僕の方はですね……」
何故か裕実の方は視線を上へと向けて考えているようだ。 なんか意見でもあるのであろうか。
「別に……そこは、朔望さん達で構わないのですが……その……」
急に顔を俯ける裕実の姿に俺も和也も雄介も目をパチクリとさせる。
何で裕実は今言葉を一旦止めてしまったのであろうか。 それは裕実が口を開かないと分からない所なのだから、俺達は裕実が口を開くのを待っていた。
「ま、毎日のようにスるのは無しですからね」
そう恥ずかしそうに言う裕実。
何だか、裕実が言いたい事が分かった気がする。
俺と雄介というのは、特に俺が動かなければ雄介は俺と体を重ねようとしないのだけど、朔望と和也だと体を重ねるのを当たり前だと思っているからであろう。 現に俺達がいない一週間、和也と裕実、朔望と歩夢でヤっていたようなのだから。 危なく俺等も誘われそうになったのを雄介が「やらない」と言った事が、まだまだ記憶に新しい出来事だったのだから。
「なら、一週間に一回!」
その和也の言葉に裕実は和也の方に顔を向ける訳もなく、寧ろ和也とは反対側へと顔を向けてしまっている状態だ。
和也は流石にそれに気付いたのであろう。
「んじゃあ、二週間に一回!」
「それじゃあ、一週間に一回と変わらないじゃないですかぁ」
頬を膨らませて言う裕実は笑ってしまいそうな位可愛いのかもしれない。 それに俺達の方も和也と裕実のそのやりとりに段々と微笑ましくなって来る。
「んじゃあ、三週間に一回!」
「たった一週間増えた位ですし、あまり変わらないと思いますけど……」
「じゃあ、分かった! 三ヶ月に一回っていうのはどうだ?」
とは言ってみたものの、
「あー、やっぱ、そこは……俺的にはあり得ねぇな」
さっきまでふざけて言っていた和也だったのだけど、急に冷静になったのか、最後の方は普通のトーンになってきて、
「あのさ……流石に恋人同士なんだから、三ヶ月に一回しか出来ないとかって、あり得なくないか? それだったら、寧ろ、そこは友達同士でいいと思っちまうんだよなぁ」
自分で言っておいて急に真剣に語り始める和也。
そこも和也の言う通りなのかもしれない。
昔の人は男女と体を重ねる行為というのは、結婚をしてからだったのかもしれないのだが、現代においては結婚をする前に体を重ねて愛を確かめる。 っていう事がある。 だからなのか恋人になったら、もうそういう行為をするのは当たり前な事なのだから、流石に三ヶ月に一回では少な過ぎるという事だろう。
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