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ー至福ー148

 その一瞬で顔を引き攣らせてしまった俺。 寧ろでっかいため息しか出て来ない。  確かに朔望は俺の話を聞く為に、挿れるのを一旦辞めてくれたのだけど、話が終わった途端に直ぐに歩夢の中に挿れたという事だろう。 それはそれで朔望らしいのかもしれないのだけど、本当にそこにはため息しか出て来ない。  切り替えがいいというのかなんというのか。  それに話し終えた直後に、そういう事をし始めたのだから、何だか自分達がシてる所を見てくれ。 と言わんばかりだ。  俺は裕実に声を掛けて、 「とりあえず、俺達は風呂に入って来ようか?」  と前の時のように俺は裕実に声を掛ける。 「……ですね」  当然、裕実もそう答えて、俺と裕実はお風呂場へと向かうのだった。  お風呂場に向かうと、俺と裕実は二人きりになる。  俺の方はもう裕実とお風呂に入るのは慣れたような気がするのは気のせいであろうか。  今は夏だから、自分達が体を洗っている間に浴槽にちょっとお湯を溜めて、洗い終えたら浴槽へと浸かる。  全くもって、今日浴槽に浸かるのは予定外な事だ。 とりあえず雄介達が朔望達のを見ているのであろうから、時間潰しの為に簡単に浴槽にお湯を張って浸かる事にした。  裕実とは正面同士で向き合って会話を始める。  二人共、当然お風呂に入る時っていうのは眼鏡をしてないのだから、きっとお互い顔もあまり見えてないだろう。 いや俺の場合には裕実の事、少ししか見えてないが、裕実の場合には何処まで見えているのか? っていうのは分からない。 「そういや、裕実も和也も婚約したんだろ?」  急に関係ないような話を裕実に振ってしまっていた俺。  いや関係無い事はないのだけど、とんでもないようなところから降って来た話題だという事は間違い無いだろう。 「……え?」  と裕実の方は目が点の状態で聞いて来ているのだから。 「あ、いや……? 話飛び過ぎだったかな?」  そう何かを誤魔化すかのように頭を掻き始める俺。 本当に俺の方は裕実と会話をするのは苦手だ。 いや、全くもって裕実が嫌いっていう訳ではない。 ただ単純に俺が話し下手だという事だろう。  だけどそれに気付いてなのか裕実の方は急に笑顔になると、 「そうですねぇ……確かに、僕は和也さんと婚約はしましたよ。 そこもちゃんと話し合いをしてですね。 本当に和也っていい人ですよねぇ。 もう、僕なんかでいいのかな? って思ってしまう程ですよー。 『もう裕実しか見てられない』とか『裕実以外の人間と付き合い事なんてない』とか……ホント、本当に僕は和也に愛されてるっていう感じがしましたしね」  そう笑顔で言っている裕実。 本当に和也にそう言って貰えて嬉しかったのであろう。 確かに雄介が俺に言っている事と殆ど変わらない言葉ではあるのだけど、裕実がそれを聞いて幸せな気分になっているのなら素敵な言葉だと思うからだ。

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